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【ドラマ】名探偵ポワロ『複数の時計』 ―この諜報員なら私でも騙せるかも…!

『複数の時計』

つらい。原作のできがあんなんだったものでドラマも恐る恐る見ましたが、やっぱり90分見続けるのが苦痛でした。なので止めては休憩を挟み止めては休憩を挟みで細切れに見ていてあまり筋も把握できてないし、感想もほっぽりだして旅行行ったしでもうよく覚えていないよ…。第11シリーズからは原作が酷い出来の物ばかりなので、ドラマ作る人も大変なんだな、そんな話。

冒頭、なんだこのひげもじゃと思ったら、推理小説作家オリヴァ夫人の生み出した探偵、スヴェン・ヤルセンさん!ご尊顔を始めて見ました、舞台だけど。なんか勝手に眼鏡かけた小さな男性を想像していましたが、そういえばスヴェンの容姿って原作でなんか指定されてましたっけ?毎朝氷を張った水風呂に入るぐらいしか覚えていない。



とりあえずあらすじをNHKオンラインより引用―

秘密情報機関MI6の一員コリンの恋人が、機密書類を盗んだ同僚を尾行中に事故死。秘書のシーラは派遣先で死体を発見。2つの事件に接点は?

海軍大尉を装いながら秘密情報機関MI6に所属しているコリンが、ポワロに協力を求める。彼の同僚で恋人のフィオナは、機密書類を盗み出した別の同僚を尾行した先で、車にはねられて命を落とす。彼女は謎めいたメモを残していた。一方、派遣秘書のシーラは、見知らぬ人物から指名が入りその家に向かう。事前の指示どおり家主が戻るまで中で待つことにしたが、そこで男の死体を発見する。


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MI6の名前を出されると、一気にスパイものというか荒唐無稽感が増大w そういえば今作のドラマのポワロは知人の息子相手にお父さん目線になっているのか知らないけど、「もちろんだよ」「力になるよ」とか口調が可愛いかった。コリン・レース大尉のお父さんのレース大佐というのは、あのレイス大佐でいいんでしょうか?『ひらいたトランプ』『ナイルに死す』に出ていた…ってドラマだと出てなかったんだっけ?あれナイルには出てたかな。ちょっとごっちゃになっていますが、とにかくレイス大佐は原作だとポアロ物の『ひらいたトランプ』『ナイルに死す』やノンシリーズで登場してはいますが、『複数の時計』では登場せず。コリンの父親はポアロの親しい友人、という設定。

⇒原作感想はこちら:【本】『複数の時計』(アガサ・クリスティ/ポアロ)―とりあえずふぉーりんらぶしておけば良い、という考え方
アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら

以下ネタバレあり

パリ buly



話の大筋は原作と変わっていませんが、登場人物の設定がいろいろ変わっていますね。教師だったミス・ペブマーシュは写真館の職員に、そして冒頭でスパイを発見して殺された同僚はコリンの恋人でもある設定に。原作だとあの住宅街で、死んだ同僚が残した手がかりから淡々とスパイを探ているところから普通に始まります。なので原作コリン君は賭け事に夢中になって仕事の電話を後回しにしちゃったりもしないのでドラマよりは色ボケ度はもうちょっとましです。そこまで大っぴらにシーラをかばったりもしないし。でも胸に飛び込んできた死体第一発見者の美女にあっという間に惚れて、あの様子をみれば無実だ!とか簡単に信用しちゃう無能さは原作でもドラマでも健在。ドラマはコリンの無能っぷりダメっぷりがさらに際立って、容疑者筆頭と悪びれもなく法廷で仲良さそうな様子を見せデレデレのMI6。こいつなら私でも騙せるんではないだろうか。

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この話は原作では、安楽椅子に座って頭だけで事件を解決できると常々ホラ吹いている老いぼれ探偵ポアロに、コリン君が犬よろしく情報をせっせと運んできて、「ほれ、解いて見ろよ」とやるお話です。しかしドラマでは、ポアロは自ら秘密基地みたいなところに行くわノラの死体発見現場には急行するわ、こんな色ボケちょーほーいんには任せられんということでしょうか。

警察も警察で、事件に関する情報を必死に伝えようとする人を(しかも事件に関係する事務所の人間を)、はいはい後で後でとあしらうあの扱いはどうなんだ。「大事な話なんで」「後でね」の流れ、この作品中一体何回見たんだろうか。ちなみに原作では、ノラは頭の鈍そうな子で、「重要かどうかはわからないけど…」という感じでおずおずと言おうとして、「急ぎじゃないんだったら」と言われ自分から言うのをやめており、また、電話の所では掛ける前に首絞められる、というもうちょっと納得できる流れで何も言わずに口封じされています。

でもここだけ切り取るとアレですけど、実際は警察に何を見ただの怪しい人物がいただの重要情報だので喚く人がゴミみたいな情報をおしつけてきてその中から重要な情報を探し出すのは難しいんでしょう…と好意的に解釈しても、これだけ連続でやられるとやはりイラッとします。しまいには、顔見合わせてウフフと笑っている間に尾行してた容疑者見失うとかw この~うっかりさんめ。

しかも他の人たちも間抜け揃い。ノラもノラで、”聞いて下さい!話を聞いて下さい!”と長々抗議しながら、肝心の名前は一切言わずに死ぬし。ドラマのシーラなんか取引先の相手に手を出して勤務中に逢引してるし。これはドラマオリジナルで、原作シェイラは公私混同なことはしていません、ただし酷い嘘つきです。どっちもどっちかw ちなみに原作では死体発見時の警察の取り調べが終わり警察の車両までコリンが見送ってあげている時に、シェイラが忘れ物をしたと言って一旦ミス・ペブマーシュの家に引き返しているので、ローズマリーの時計をシェイラが盗んだというのはすぐにコリンは見破っています。色仕掛けでさぐるとかいう三文スパイ小説じみた場面もないし、あんなものを鞄に入れてそのまま持っているとかいうことも無し。一方ドラマでは413は逢引していた部屋番号でしたが、原作では413の数字は特になーんも意味が無いよ、でお終い。これも酷いw 酷さを競えば、ドラマも原作もボロボロ出てくるのでキリがないね。

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原作で ”偶然過ぎるし全然事件に関係ないし、この設定要らなくない?” の筆頭だったミス・ペブマーシュとシェイラの母娘関係のところは、さすがにドラマではサクッと無かったことにしていました。そりゃそうよね。あれおかし過ぎるもの…。しかしそのせいでスパイ事件とメインの事件が全く絡まず、スパイ事件自体要らなくない?という筋書きになってしまい…いや、原作でもスパイ事件要らないと言えば要らなかったけど。ドラマは変に冒頭で恋人が殺されるとかスパイ事件にかなり重きを置いたので、あれだけ冒頭から煽って置いてスパイなんも無関係かよ、という尻切れ感がひどい。

”メインの事件の他にも人の世にはいろんな悪意や個人的な事情、はたまた他の犯罪等がある。事件とは関係ないけれど人には知られたくないことがあり、だから人は悪意なく警察・探偵にいろんな嘘をつく。それが調査をやりにくくする” というのはクリスティ作品にはよくある設定です。でもそのメイン以外の事件を大々的にやりすぎて、あれ、どっちがメインの事件?とまでなってしまった上に、この作品はスパイもので国際的な大ぶろしき広げちゃってるから、物足りなさが残るよね。

そういえばちょうど原作版で『ヘラクレスの冒険』の「ネメアのライオン」の話がでていましたが、この話もそんな感じで小さな犬の誘拐事件という小さな事件を調べていたら、最後についでに大きな事件まで解決しちゃったよ、みたいな感じにすればよかったのに。あれはポアロが犯罪を企んでる人間に最後にぼそっと警告を発するだけなのでで、読者はこの事件の奥にそんな事件が潜んでいようとは…!っとヒヤッとさせられるのでそれなりに面白かったんですよね…ネタバレを避けようと抽象的に説明しているので、我ながら何言ってるんだかわけわからん文章ですみませんね。

シーラの巻き込まれた事件がきっかけでスパイを解決するのかと思えばそこまで関係もなし。紙くるっとさせるだけ。庭に大事な証拠は残すわ、庭先で大声で密談やっちゃってるわで、こりゃシーラの殺人なくてもいずれバレるわという感じで。このスパイ事件、無くても全然かまわないよね。いや、むしろ事件の規模的にシーラが巻き込まれた殺人の方がいらなかった?いやどっちかというとコリンが要らな…。どうすれば納得いく改変になったかな~と考えてみるのですが、元の話が酷いとどんどん破綻していって収拾がつかない。ストーリーを考えるのって難しいね。

その他には被害者が、刺された瞬間結構な悲鳴あげていたけど、薬で眠らされていても悲鳴って上げるものなの?とか、最後ブランド夫人がペラペラペラペラペラペラペラペラ…ポアロシリーズでかつて犯人自らこんなに長く説明してれる話はあっただろうかw 延々とネタ晴らししちゃったから、ポワロの出番がなかったよね?そんな程度の感想しか思いつかず。原作とドラマどっちがいい?と聞かれたら、どっちも酷い。



 
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