旅行鞄にクリスティ

海外旅行とアガサ・クリスティのブログ 最近はマイリトルボックスレビュー・コスメ・ファッションに侵食されぎみ


【ドラマ】名探偵ポワロ『青列車の秘密』 ―勢いで乗り切る

『青列車の秘密』

土曜の再放送も終わってしまったし、あとは水曜の再放送に間に合う程度にゆっくりと感想を上げていこうと思っていたらあっという間に水曜の再放送に追いつかれてしまったわ。ということで今週の再放送前に慌てて視聴した『青列車の秘密』ですが…

ん?これは青列車の秘密か?というほどガラッと大きく変わっています。変わっていないのは犯人と列車の名前と…ぐらいの勢いで改変されており。原作は著名な宝石を巡る殺人事件を背景に、突然手に入れた大金の遺産によって一変した生活と2人の男性に翻弄されつつも、流されず一人じっと事件に立ち向かうキャサリン・グレイという女性の恋物語的なお話。

ドラマのあらすじはNHKオンラインより引用―

ニースに向かう寝台列車内で起きた殺人。被害者は直前に個室を交換していた。

ポワロは石油王ルーファスの娘ルースの誕生パーティーで、多額の遺産を相続したばかりのキャサリンという若い女性と知り合う。ポワロたちとルースは同じニース行きの寝台列車に乗る予定だった。出発後、キャサリンはルースにせがまれ、個室を交換する。愛人との密会に好都合だったのだ。だが翌朝、ルースが無残な姿で発見され、彼女が持っていた宝石もなくなっていた。


⇒原作感想はこちら:【本】『青列車の秘密』(ポアロ物)―イギリスのお貴族様の暮らしぶりホホホ、と割り切れば楽しい
アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら

以下ネタバレあり

ゲティセンター



あんまりに変わりすぎていてどこが違うとも言い切れない感じなのですが、とりあえず全員列車に乗っていたことにして、ついでにコンパートメントも変更して片っ端から疑えるような状況に関係者全員をぶち込んできた、そんな改変w なんせパパまで容疑者に。いわくありげな妻の設定に、しかも愛人までいる。原作ではデレックの愛人だったミレル(ミレール)はなんとルースパパの愛人に。びっくりしましたが、これの元になった短編の「プリマス行き急行列車」がすでにドラマ化されていて、娘を殺された父親の嘆きが刺さるとても重い話に改変されていたので(原作の短編はいつどうやって犯行を行ったかの謎解きメインで割とあっさり)、そっちと違いを付ける意味もあったのかな。

そして愛人をパパに取られてしまったデレクですが、原作だと主人公の内の一人ぐらいの立ち位置、キャサリンを巡る三角関係の一人です。原作では結婚当初はルスに惚れていた気がするものの、ルスも浮気してるしいいよねと浮気・借金三昧で調子に乗っていたところに離婚を突きつけられ、その流れで金の切れ目は縁の切れ目と一度は関係を切られるもののルースの死で遺産を相続できそうになったのをかぎつけて舞い戻ってきた愛人を振り切りつつ、恋のライバル ナイトンにはめられ殺人の罪を着せられたところをポアロとキャサリンと密かに彼に好意を持っていたレノックスの好プレーによって釈放、最終的にキャサリンの愛をかっさらっていった、いわば「ダメ男ほどもてる」という説を地で行く男性。しかしドラマでは実は奥さんを愛していたものの借金で愛想つかされて離婚され、その上運悪く罪を着せられて牢屋にぶち込まれるというただただ単純にダメな男にw これが一番意外だったかも。三角関係の話じゃないですと?! 最後のポワロさんによる ”とりあえず関係者片っ端からつるしあげるよ” のシーンでキャサリンがデレックをなだめるところがあって、ここでデレックの一目ぼれ来るか…?!と思いましたが、結局そのまま何も起こらず。最後までキャサリンとデレックがろくに接点を持たないとは。

三角関係のもう一方のナイトンがメインの脚本になっていますが、ナイトンもかなり変更されていますね。原作ではもうちょっと若いイメージです。裏の顔は宝石に目がなくそのためなら残忍な殺しもする危険人物で、知的で上流階級出身の国際的強盗、しかし表はあくまで実直で有能な物腰の良い青年。まじめでスマートな好青年 VS 女にもお金にもだらしなく魅力的な男性 、さて、どっちを選ぶキャサリン!というなんとも羨ましい設定だったはずが、ドラマでのナイトンは原作より歳をとっていてまじめですがパッとしないイメージで、これじゃイケメン枠デレックに対抗できないよ!と心配でしたがそもそもデレックは土俵にも乗ってこなかった。そのかわり原作では単なる相棒だったアダ・メイソンが乗って来て、 ”私を許してねぅわわぁぁ~逃げて~!!” もうなんのこっちゃ。

宝石の為なら暴力的な手段もいとわず冷酷に目的を成し遂げる、頭脳明晰で冷静な悪党が、一人の女性に恋に落ち、嫉妬に目がくらんでライバルを消そうとついデレクに罪を擦り付けたのが運つきで、ここから綻びが出てポアロにばれてしまうというところが、原作の一つの面白いところだったんですがね。プロフェッショナルな強盗どころか、宝石盗むついでに性的興奮のために殺人?!やだ、変態じゃないですか!

余りのぶっ飛びぶりに、謎解き再現中に列車から立ち去るシーンの背景で、”うわ~きれいなルビー拾った~” しているアホの子コーキーの可愛さが際立つよね。もうタンプリン家の人々が癒しですよ。

「コーキー、あなたを愛してるけど救いようがないわ~ん」

やっぱりタンプリン夫人(タムリン子爵夫人)大好き。原作でも好きでしたがドラマはもっと好きかも。原作よりもさらにあっけらかんとしたタンプリン夫人はポワロさんどころかルーファス・ヴァン・オールデンまで屋敷にさらって来ちゃうやり手ぶり。原作ではそんな母親を冷めた目で見ていた娘レノックスは、ドラマではママってすごいの~!と大絶賛。いや、ナイフ持って襲ってきた暴漢に素手で下着姿でとびかかって撃退させる娘さんも充分凄いよ。タンプリンの家の人々に引きずられたのか、キャサリン・グレイも落ち着いてミステリアスな原作像からキャピッと可愛らしいお嬢さん像に。その愛らしさにポワロさんもデレデレ。自らおじさんに名乗りを上げて、いつもより多めにデレております。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

1957 Chevrolet Corvette C1 Brown 1/18 73...
価格:7900円(税込、送料別) (2017/4/10時点)

とまあ原作と違うところを上げたらきりがなく、はやめちゃドタバタな話に、もう筋を追うどころでなく結局どうなってるんだってばよという感じで、これを見た人が冷静に謎解きできたのか、そもそも話について行けたのかが心配ですw しかし原作の感想でも書きましたが、原作も”侯爵”とかいう通り名をもつ怪盗やら裏世界の宝石商やら(このヒポポタマスみたいな名前の宝石商親子はドラマでは出て来ません)けったいな設定の代物だったので、原作に忠実にやっていたらこれはこれで阿鼻叫喚かも。もうね、原作で私の好きだった、英国のお貴族様の暮らしぶりやら、莫大な遺産を貰ってポンと上流階級に放り込まれた女性の初めてのドレス選びやらなんやらの心躍る雰囲気は、形を変えて主にタンプリン家の人々との場面で存続していたので、私は満足です。車に乗ってヴィラ・マルガリータに到着する場面なんかワクワクしますね。原作より仲が良さそうで、キャサリンとデレックのボーイミーツガール話というよりキャサリンとタンプリン家の人々のキャッキャウフフ話になっておる。謎解きの場面でポワロを差し置いて、「楽しくやりましょ、もう来たくないなんて言わせない」アハハハ…して怒られちゃうぐらいに。あの場面好き。何が何やらの改変具合と、とても現代的な雰囲気からなんとなくグラナダ版のミス・マープルシリーズを思い出すのですが、そういえばデレック役の人は『動く指』でこれまたダメなイケメンを、そしてタンプリン夫人が『鏡は横にひび割れて』のマリーナ・グレッグを演じていたのもマープルさんが頭に浮かんでくる要因かも。この話、少し前にキラキラ感を前面に押し出していて面白いと教えて頂いたのですが、確かにそんな感じ!原作のいまいちだったところを勢いで乗り切るw

そしてラスト、原作のセント・メアリー・ミードへ帰ったキャサリンを釈放されたデレクが追いかけて行って、皆が帰った祭りの後のようなタムリン夫人邸で傷心のレノックスをそっと励ますポアロというしんみり加減もいいですが、ドラマのここからキャサリン個人の新しい人生が始まっていくんだという未知へのワクワクラストも、キャサリンにスポットライトが当たっている感じがしてい良いですね。原作キャサリンはちょっと超然とした存在すぎるところがあるのよね。ドラマのキャサリンはとにかく笑顔が可愛いです。いろいろなんかよくわかんなかったけど、旅が好きになったみたいだし!キャサリン笑ってるし!タンプリン一家海辺で楽しそうだし!オリエント急行だし!と謎の爽快感エンドで、なんか良くわからなかったけどなんとなく面白かった気がするからもう一回見ようか、そんな感じ。


follow me♪
 Instagram:mugi_mugi333
 twitter:@mug_333

関連記事

 名探偵ポワロ,