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【ドラマ】ヒクソン版『復讐の女神』―まるでミス・マープルのようにばっさばっさ冷静にカット


『復讐の女神』 

ドラマ感想、まずはヒクソン版です。そういえばヒクソン版もマクイーワン版も、なんで両方とも『復讐の女神』のほうが『カリブ海の秘密』より前にくるんでしょうね?事件としてはつながっていないので逆でもまぁ問題は無いと言えばないですが、メネシスネメシス(←コメントで誤り指摘頂きました。ついでに過去記事もこそっと直しました\(^o^)/)の意味とかラフィール氏との絆とかは薄れちゃう。

ラフィール氏を演じた役者さんは『カリブ海の秘密』と『復讐の女神』で異なっています。『復讐の女神』の方はなんだか丁寧な物腰のお爺さんになっていた。もっと高圧的で威厳のある頑固爺さんがよかったな。『カリブ海の秘密』のラフィール氏の方がイメージに合う。それにしてもmyマイクを携帯するラフィール氏、やっぱりお金持ちは違います。

ヒクソン版にしてはめずらしく原作と結構違います。大筋は一緒ですが。原作前半で”ラフィール氏の依頼はツアー参加者の中の誰に関係したどんな事件なのか”とマープルが考察する部分はドラマではだいぶ省かれて、早めに調べるべき事件の焦点がわかるようになっている。このへん原作ではマープルの独白が多いので映像にしにくいだろうし、同じことを何度も繰り返していてちょっと飽きる部分だったので、バッサリいってもらってちょうど良かった。バスツアーの参加者自体も省かれ、なんちゃら夫妻やら若者達は出て来ない。それにしても昔の車は可愛いですね。



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そして原作には出て来なかったライオネル、ミス・マープルが名付け親になったとの設定でしたが、ドラマオリジナルキャラかな、それとも他の原作で出てきたのかな…。ちょっと覚えがない。ミス・マープルの名付け子や、甥姪、メイドに関しては、沢山出てくるので把握しきれない。しかも原作、ヒクソン版ドラマ、グラナダ版ドラマで違っていたりするので、もうごっちゃです。人物を覚えようと思って原作版の一覧表も作っていたけれど、目ぼしい人しかメモっていないから分からんわ…。次読み返す・見返す時は、マープル名付け子・メイド一覧でも作るかw

弁護士に報酬額を言われたとたんに、思わず「やまうずら…」と呟くマープルさんが素敵w どんな犯人にも驚かないマープルさんも、ヤマウズラには目の色が変わる。そういえば、ドラマ版の魔術の殺人だったっけ?そこでもやまうずらやまうずら言ってましたね。そんなに好きなのか。やまうずら、私は多分食べたことがないと思うのですが、どんな味なんだろう。

カフェのシーンで、看板のCream Teasの文字が大写しになったので、クリームティーって何ぞ?と思ったら、スコーンと紅茶のセットのことなのね。今作では街中のお茶のシーンが多くて嬉しい。旧領主邸でのお茶もミントンのカップで。豪華なホテルのお茶もいいですが、こういう日常のお茶のシーンも素敵。クリスティ作品でお茶のシーンが映ると非常にテンションが上がります。そして無性にお茶が飲みたくなる。



お茶のシーンだけでなく、今作はバス旅行の話なだけにクラッシックカーがたくさん登場。普通の車にタクシー、観光バス、救急車まで。車は全く詳しくないですが、昔の車の丸っとしたフォルムがとても好きです。なんで今はこういう形の車は出て来ないんですかね。あんな観光バスが今もあったら、内容が同じツアーなら多少高くてもそっちを選ぶわ。絶対乗りたい人多いと思うんだけどな。


以下ネタばれあり

クリームティー





エリザベス・テンプルの事故も丘ではなくお屋敷の中に変更。なぜ?危ないから?いろいろなんで変えたのかな?と思う部分はありましたが、原作を読んで気になっていた点が解消されていたのがよかった。被害者の保護者が「殺人犯」の親(ラフィール氏)と事件後も親交があって、しかもラフィール氏からの依頼で人をもてなしたりするのがちょっと不思議だったのですが、ドラマ版ではマイクルは逮捕されておらず、一応犯人ではないことになっていました。ほぼ犯人扱いでしたけど。

それと原作最後、クロチルドは結構唐突にミス・マープルを殺そうとする点、ドラマ版では直前にマープルが”犯人が分かった”と宣言し、クロチルドをじわじわ追い詰めています。こりゃ殺されますわ。ピンクのショールのネメシスファッションで、冷酷な程淡々と犯人を追い詰めるおばあさん、怖いですね。”ただの腐った亡骸”言ってましたからね。


そしてマイクル、なんだあの変化は。人格まで変わっていそうな。原作では最後保釈後にやっと登場し、渡されたヴェリティの写真をちょっと見つめた後に、いらない、前に進まなければいけないと言って返すシーンがあった。ここ、大事に受け取ると思ったので意外に感じるとともにお気に入りでした。いつまでも死んだ人にとらわれず未来に進んでいく、残された若い人間としてあるべき姿ともいえるマイクル、今だに過去の亡霊に捕らわれ常軌を逸した老いたクロチルドとの対比で印象的なシーンでしたが、ばっさりカット。それどころか出番が多かったわりにヴェリティのヴェの字もなし。正直マイクルはそんな出て来なくてもよかったんじゃと思わなくもないw イケメンでしたけど。ブラバゾン副司教の語るマイクルとヴェリティの話もほぼカットで、ヴェリティの人物像に関してはだいぶ削られ単に素晴らしい子、というだけの印象に。でも残念だったのはここぐらいで、原作の堂々巡りで廻りくどい点が全体的に無くなっていて、とても見やすい話になっていた。

最後のシーンも原作と違いましたが、原作もドラマ版もどっちも好きです。原作だと、何かミスマープルが「楽しいこと」を企み、まだまだマープルの物語が続いていくような(結果的に最後の話になってしまいしたが)、先を感じさせてくれる余韻のある終わり方。ドラマ版は、ラフィール氏の作ったすごろくで一丁上がりしたような、ゴール辿りつきました!という終わり方。ゴールで待っていたのはラフィール氏からの短い手紙。 Shall we meet again? の部分、「またお会いできるでしょうか?」と吹き替えの口調も相まって丁寧な感じになっていましたが、字幕の「またお会いしよう」の方が気難しいラフィール氏に合っている気がする。にやりと笑いながら書いているラフィール氏が目に浮かぶような。

でも眠り姫じゃありませんよ。ただの腐った亡骸。キスで目覚めさせる王子はいない。―ジェーン・マープル



 
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