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【ドラマ】ミス・マープル版『ゼロ時間へ』―コンパクトにまとめたら普通になっちゃった感(アガサ・クリスティ原作)

『ゼロ時間へ』
引き続きマクイーワン版の『ゼロ時間へ』を視聴。大筋は原作と同じです。原作の探偵役、バトル警視とマクハーターは両方とも出て来ず、そのかわりミス・マープルが一人で解決。よってマクハーターの自殺未遂も娘の濡れ衣の部分もなし、本筋だけに絞っています。90分という短い時間にコンパクトにまとめられた印象。マクイーワン版にしては優等生なイメージ。

この作品、普通に面白いです。面白いですが、いま一歩印象に残らず。削られた部分は、削っても話的には問題ないのですけれども、濡れ衣の暗示とかゼロ時間の説明とか(あるにはあったけど)、冒頭になされるこの話の舞台設定の説明がごそっと無くなってしまったので、全体的になんというか深みがないというか、必要なものだけ残しました感が。「ゼロ時間」が何を指すか、という部分は変わっていないので、初見の人には楽しめると思いますが、ネタを知っていて楽しめるアレンジにはなっていない。

 ⇒あらずじ、原作『ゼロ時間へ』読書感想はこちら
 ⇒アガサ・クリスティ 作品・感想一覧はこちら




若干ネタばれあり
コタキナバル




犯行のトリック自体にはさほど面白みのある話ではないと思うので、ちょっとそれだけだとつまらないのですよね。個人的にはオードリーとネヴィルをもっと掘り下げてほしかったな。ネヴィルの不愉快さも、オードリーの味わった恐怖もいまいち伝わりにくい。時間が短いのでしようがないのでしょうけれど。マクイーワン版にしては原作に忠実(主役の探偵役が違うと言う大きな変更はあるもののw)ですが、忠実に大事なとこだけ取り出したら小粒になっちゃった、みたいな。ドラマというより、要約を読まされているような微妙な感じが残ります。

犯人に身体的特徴がある、ということで、登場人物の身体的特徴を視聴者にわからせないといけないわけですが、どうやって映像に混ぜてくるのかと思いきや、食卓で唐突に皆自分から話しだしちゃった。生臭い関係の話とかも、マクハーターが登場しないせいで犬の飼い主がぺらぺらとしゃべるし、それ関連の情報は全部いっぺんに教えてくれちゃうわけですよ。なんだこの、推理に必要な情報は取りあえず登場人物に話さしておけ!的な結構むりやり突っ込んだ感。不自然じゃないように映像に混ぜるには時間がたりないのだろうけど、もうちょっとどうにかならんかったのかね。



何か文句ばっか書いているけれど、90分間飽きずに見ましたし、全体的には良くまとまっているんだろうな、と思うだけに残念です。

登場人物では、オードリーがイメージ通りでした。細く青白くて、可愛くはあるけれど美人とは言えない容姿ながら心をとらえてはなさない、つかみがたい雰囲気の幽霊のような女性。こんな人いるのかと思っていましたが、よく見つけてきましたね~、ピッタリでした。つばの広い帽子がお似合いで、長身でしたが折れそうなほどか細くはかなげな印象が、いかにもモラハラ男が妻に選びそうな。

残念だったのはテッド。ジゴロ風にしてはちょっとぽちゃってるし20代にしてはおっさんくさいような。もうちょっと痩せてくれ…。ミス・マープルは、トレシリアン夫人の学生時代の友人という設定で登場。この2人の会話のところは面白い。マープルさんが口をはさむ隙もない。さすがミス・マープルの友人。

そして序盤男が崖を覗いていたシーンで、マクハーター来る?!と思ったら、ネヴィル。しかも自殺じゃなくてただ覗いていただけ。無駄にシリアスに覗かないでw 後半でオードリーが崖に走り出すシーンも、止めたのはまたしてもネヴィル。またお前かよ!

ひそかにお気に入りだったラティマーを船から落とすシーン、再現してくれてよかった。原作では船の重心を偏らせて落としていましたけど、ドラマでは普通に付き落としていた。しかもマープルさんがw 酷いwそしてかわいい。船の中で刑事からミス・マープルからまぬけまぬけ言われたモラハラ男は、挑発を受け流すことができないので、あっさり自白。最後にできあがったカップルは原作とは組み合わせが変わっていました。この組み合わせはドラマ版の方がなんとなくしっくりきます。


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