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【本】ポアロ『スタイルズ荘の怪事件』 ―ポワロシリーズの始まりと終わりの場所(アガサ・クリスティ著)

『スタイルズ荘の怪事件』☆☆☆★★ 

いつもだど、今週末にNHKで再放送される「名探偵ポワロ」に合わせて原作を読み直すのですが、今回は最終回『カーテン』なので、ちょっと読む気にならず…。ということで、最終回の正反対、第一作目の『スタイルズ荘の怪事件(スタイルズ荘の殺人)』です。正反対ではありますが、『カーテン』の舞台がちょうどこのスタイルズ荘なので、無関係にあらず。

普段クリスティ作品はハヤカワ文庫で読むことが多く←の写真もハヤカワのものになっていますが、今回読んだのはハマりはじめの頃に出版社関係なく集めた創元推理文庫版の『スタイルズの怪事件』です。

傷病兵として前線から送還されたヘイスティングズは、療養のために身を寄せていた屋敷、スタイルズ荘で、殺人事件に遭遇。知人の義母で、最近再婚したばかりの屋敷の女主人であるエミリが毒殺されたのだ。夫人の若い夫による犯行であるかのように思えたが…

ベルギーの元警察官で難民としてイギリスへ渡ってきていた旧友のポアロと再会したヘイスティングズは、ポアロに事件の解決を依頼する。

 ⇒ドラマ版の感想はこちら:名探偵ポワロ『スタイルズ荘の怪事件』 ―初々しいポワロとヘイスティングス
 ⇒アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら

クリスティの処女作、ポアロとヘイスティングズの初登場作品ですが、二人の出会いは描かれてはいなく、すでに二人は知り合いです。ヘイスティングズはこの時30歳。ポアロは引退した警官という設定ですが、定年で引退したのか、戦争で早めに引退とかもあったのか、そこらへんはよくはわからないので年齢は不明。



探偵ものには、見たままを正確に語れるぐらい記憶力が素晴らしく、かつ頭の回転が鈍くぶっ飛んでいる友人が不可欠である。ということでのヘイスティングズですが、事件以外のところでも素晴らしい勘違いぶりを発揮しています。鳶色の髪のシンシアに結婚を申し込んだと思えば、友人の妻のメアリが自分に惚れていると思い込んだり、もう
こいつは一体何を言っているんだ…(  Д ) ゚ ゚ 

一応英国紳士という仮面をかぶっているので良い人枠でいられますが、これ、日本人の中年のおっさんだったら、けっこうキてますよね…。10歳近く(?)年下の若い子が自分に気があると思い込こむだけでどんだけ図々しいんだという感じですが、そっから一気にプロポーズですよ、このおっさんあぶねぇ…。そりゃシンシアに ”は?” みたいな冷たい目で見られますわ。

的外れの考察をしては悦に入り、ポアロが頼ってくれないと不平を言うヘイスティングズ。彼の一人称で書かれているので、今作も読んでいるとイラッとする部分も多々あり、ところどころ適当に飛ばしてしまいましたw しかし本で読んでいただけの時はヘイスティングズが登場するたび ”いいからお前はすっこんでろ” と思ったものでしたが、ドラマでヒュー・フレイザーが演じるヘイスティングズを見てからは一気に好感度アーップ!!! 人間、見た目と物腰って大事よね、と実感しました。

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こんなこと書いていますが、決してヘイスティングズは嫌いではありません、読むのが面倒なので読み飛ばすだけです。作者にも ”お前はすっこんでろ” と思われたのかどうか知りませんが、次の『ゴルフ場殺人事件』で目出度くご結婚しアルゼンチンにひっこんでしまい、レギュラーの座からあっという間に滑り落ちて、意外と登場作の少ないヘイスティングズ。たまに出てくると、なんか懐かしくなって ”待ってたよ~” と血迷ったことも思ったりもしますが、がっつり出てこられるとやっぱりちょっとウザい。 『スタイルズ荘の怪事件』 と 『ゴルフ場殺人事件』が、ヘイスティングズのウザさを堪能できる2TOPです。

ポアロ初登場の今作ですが、後期の作品からするとちょっと珍しい様子が見られる。興奮すると何かと外へ走り出て、喚きまわるポアロ、これは貴重です。これはまだ比較的若いからなのか、それとも初作でまだポアロのキャラが定まっていなかったからなのかはよくわかりませんが。そういえばポアロは飛び回ってたけど、足びっこ引いているんじゃなかったのか?そしてこの作品後びっこ設定は出てこないけど、これはなかったことになったのかしら…。それとも、後遺症ではなく一時的なものだったの…?謎です。

その後の作品(『ポアロのクリスマス』とか)なんかでも、ポアロが大声を上げたり奇行にはしるシーンはあるにはあるけど、そっちは何かを調べるためにいかにもわざとやりましたな感じ。しかし『スタイルズ荘の怪事件』ではわりと素で喜びのあまり飛んだり走り回ったりしている。最初の大声は書物が破棄されないように知らせるためにだったりもしていますが、その他では素です。素で飛んでっちゃった。

いつものダンディなポアロに慣れていると、微妙に違和感を感じる初期ポアロですが、まあそれはそれで良い。ポアロが飛び出していく所になぜか毎回居合わせるメアリが、「ポアロさんはどうしたのかしら?」とヘイスティングズに尋ね2人でポカンとポアロを見送るところまでの、一連のおきまりの流れが好きです。そして初期ポアロは避難民としてイギリスに来たばかりなので、いつもの尊大な態度は、片鱗はあるものの控えめ。




以下ネタバレあり

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この作品で一番好きなのは、事件を形作る『最後の環』の発見方法です。ズレたものや曲がったものを見ると直さずにいられない、極度の綺麗好きで神経質なポアロならではの証拠の発見の仕方。”今朝一度直したはずのものを、また直す必要があるはずがない…!誰かが動かしてでもいない限り…!” もうほんといかにも潔癖症といった感じで笑ってしまう。マントルピースの上のこより入れにこよりが1・2本増えていようが、そんなん気が付くかよ!と何事にも雑な私は思います。

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ちなみに、こより入れなんてものがあるのか、どんなもんかと思ってグーグルで画像検索してみたところ、老若男女様々な人がひねったティッシュをすごい顔して鼻に突っ込んでいる写真しかでてきませんでした。結局こより入れがどんなものかはよくわかりませんでしたが、何か壺的な物体でしょうかね。

口は悪いしずけずけと物を言うけれど、正直者で人の好さそうなイヴリン。こんないかにも 実はいい人 そうな人物が犯人とは…。最終話『カーテン』でも、再びスタイルズ荘に戻ってきたヘイスティングズがイヴリンを回想するシーンがあるし、たしか他の作品でもイブリンの話は出てきたような。シリーズ通して結構印象深い犯人です。老婦人の面倒を見ている時と同じように、明るくてきぱきと殺人計画のほうも何の迷いもなく進めていたんだろうな。犯行がばれた時の彼女の様子は描かれていないのが少し残念なり。


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