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【ドラマ】『鏡は横にひび割れて』―ヒクソン版ミス・マープル、ファイナル

『鏡は横にひび割れて』

ヒクソン版のミス・マープルシリーズ、これで全作感想書き終わりです。そしてこの作品、第1話「書斎の死体 前編」から始まったヒクソン版のミス・マープルシリーズとしても、『鏡は横にひび割れて』が最終話です。
※こちらは旧作のミス・マープルの感想です。グラナダ版の感想はこちらを参照(【ドラマ】ミス・マープル『鏡は横にひび割れて』 ―忘れるということの難しさ)。

ドラマ版は原作と全然ちがう作品順で放送されているため、一応原作メインで手元にある順で適当に見ていたので結構見る順番もバラバラだったのですが、最後に見るのはこれと決めていました。放送順でラストの話だから、というわけではなく、結構評判が良かったからです。私は食べる時も、好きなものは最後に残して置く派です。ヒクソン版ミス・マープルの放送順序は以下の通り。

書斎の死体
動く指
予告殺人
ポケットにライ麦を
牧師館の殺人
スリーピング・マーダー
バートラム・ホテルにて
復讐の女神
パディントン発4時50分
カリブ海の秘密
魔術の殺人
鏡は横にひび割れて



グラナダ版のラストがなんとミス・マープルシリーズではない『終わりなき夜に生まれつく』で、その時の感想にやはり『スリーピング・マーダー』か『復讐の女神』が最後がよかった、と書いたのですが、こちらヒクソン版もその2つではなくなぜか『鏡は横にひび割れて』。でもこの作品チョイスは、まあグラナダ版よりは納得できるかな。

こちらが最後の作品なのは、話自体が名作なのもありますが、原作もミス・マープルの老いがかなりクローズアップされていて、そしてその老いや近代化に飲み込まれず新たなパートナーまで得てさらに新しいステージへと活動していく姿が描かれています。なので最後の作品にしてもあまり違和感がない。大取の風格。あとはセント・メアリーミードが舞台だからでしょうね。やはり最後の作品なら、毎回は登場しないけれどもミス・マ―プルシリーズでおなじみだったドリーやスラック警視を登場させなければならん、それならセント・メアリーミードで事件が起こらないと、ということで選ばれたのでしょうか。



そうそうそうそう、スラック警部はスラック警視に昇進されました。おめでとうございます。自分が現場に立たなくなったからか、邪魔扱いは影を潜めてなんかマープルさんへ腰が低くなっています。腰が低くなりながらも、事件が解決したと見るや ”ささ、お帰りください” みたいな用済み扱いwあいかわらず調子いいな。なんか若干ヘイコラしているのが残念でもある。スラック警部とミス・マープルの距離感は、『魔術の殺人』あたりの ”好敵手” っぽい感じが好きです。

スラック警部が出てきたので、本来出るはずのあの人は出ないのかと思ったら、きたー!私のクラドック警部がw 私は原作のクラドック警部が一押しですが、ヒクソン版のちょっと年のいった落ち着いたイケメンクラドック警部も大好きです。前回登場の『予告殺人』でもハイテンションで感想書いていたような。

クラドック警部の、上に反抗したので出世が遅れた、という設定はドラマオリジナルです。そうしないとスラック警部警視との年と地位の差がおかしなことになるからでしょうかね。あの貫禄、どう見てもクラドック警部の方が有能そうです。

ついでに、マープルが叔母、というのは比喩表現ということでいいのよね?あれ、ドラマでは血縁関係がある設定だったんだっけ?と思って慌てて『予告殺人』を見直してしまった。他人ですね。原作でもそうです。


 ⇒グラナダ版(マッケンジー版)『鏡は横にひび割れて』視聴感想はこちら
 ⇒原作『鏡は横にひび割れて』 読書感想はこちら
 ⇒アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら

以下ネタばれあり

シャングリラ アフタヌーンティ



話としては原作に近いので、そちらで結構感想を書いたので、あらためて書くことはほとんどありません。お節介な独りよがりの善意の塊ヘザー・パドコックは、ドラマでは鬱陶しさは半減していました。ヘザー・パドコックに風疹の真実を告げられ、”鏡は横にひび割れ”た瞬間の再現は無く、マープルの口から語られるだけだったのが少し残念。

そのかわり原作やグラナダ版と比較すると、ヒクソン版のドラマは、マリーナの夫の心理描写に重点を置いている感じでした。原作だと最後の選択は若干唐突にも感じるし、グラナダ版では夫よりもマリーナと子供たちとの関係に重点を置いて描いていました。

私はこの『鏡は横にひび割れて』のドラマ化、ヒクソン版もグラナダ版もどちらも好きですが、どっちかというとグラナダ版の方が好きです。この作品の見どころは、犯行の動機と、その瞬間だと思うからです。何十年にもわたって人生を狂わせられた元凶を知った被害者と、悪意のない誇らしげな加害者、とても怖い絵面ですね。凍り付いたその瞬間に凝縮されて出てきたのが殺意なんでしょうね。マリーナのその瞬間と、ヘザーの性格の描き方に納得のいったグラナダ版の方がよかったかな。

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何はともあれ、ヒクソン版ミス・マープルは全て感想を書き終わりました。どの作品も割と原作に忠実で、出来に多少の差はあれど、全体的に丁寧に面白くまとまっている印象です。ヒクソン版で好きな話でランキングにしようかと思ったけれど、ちょっと難しいわ。何度も見直したいのは『バートラム・ホテルにて』ですが、話が、というより、ホテルやアフタヌーンティー描写目当てですw 話として好きなのは、『予告殺人』『鏡は横にひび割れて』『復讐の女神』あたりでしょうか。でも見るたびにお気に入りは変わりそうです。



 
 
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