旅行鞄にクリスティ

海外旅行とアガサ・クリスティのブログ 最近はコスメ・ファッション・マイリトルボックスレビューに侵食されぎみ


【本】『アクロイド殺し』(アクロイド殺人事件)―お恨み申し上げます、早川様(アガサ・クリスティ著・ポアロ物)


アクロイド殺し☆☆☆☆☆

来ましたアクロイド!名作と言われる作品の感想を書くのは緊張しますね、いつも大したこと書いてないくせにね!そのうえ個人的にいまいち気乗りしない作品だとさらに億劫さ倍増だNE!しかし後に伸ばしていてもいつかは書かなくてはいけないので(いや、別に義務じゃないけど)、重い腰を上げます。

1926年に発表されたこの5つ星の『アクロイド殺し』、ポアロ物の長編としては、『ゴルフ場殺人事件』(1923)と『ビッグ4』(1927)という文句なしに一つ星を付けた作品に挟まれております。このあたりのは私生活のせいかふり幅が大きくて読む方も大変…。まずはあらすじ~。

ファラーズ夫人(フェラーズ夫人)が自殺した。夫人はその前日婚約者のアクロイドに、夫の死は夫人による毒殺であり、このことを知っている人物によって莫大な金額をゆすられていることを告白していた。動揺するアクロイドの元に、脅迫者を告発する夫人からの遺言が届くが、そのアクロイドも死体となって発見される。そして消え失せた手紙、その日から姿を消した義理の息子。

探偵業を引退し精を出していたかぼちゃ栽培に飽き飽きしていたポアロは、アクロイドの姪フロラの依頼を受け、隣人のシェパード医師を連れて事件の解明に乗り出す。

⇒ドラマ版感想:【ドラマ】名探偵ポワロ『アクロイド殺人事件』 ―アクロイドさん殺人事件になっておる
アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら


以下ネタばれあり

弘前 旧東奥義塾外人教師館


これね~。初めて読んだのは10年以上前で、クリスティを読み始めて、かなり初期の方に読めました。クリスティ作品で、絶対にネタバレを食らわずに読みたいけれどネタバレを食らわずにはいられない作品の1、2が『オリエント急行の殺人』と本作だと思うのですが、私が読んだ当時はネットで本やクリスティ関連のサイトを見ることもなく、周りに話題にする人もいなく、テレビで偶然見てしまうこともなく、予備知識も何一つなしに読めるという、最良の環境でした。


が!

旧ハヤカワ文庫の裏表紙がやらかしてくれました。今はもうその裏表紙は手元にないのでうろ覚えですが、「フェアかアンフェアか」とか「驚きの真相!」みたいな感じで煽る煽る。そんなびっくりなトリックなんだ~、んじゃこれだったりして~と想像したのがドンピシャで、物語のごく初めの頃から、あれ、あれ?!これそうなんじゃないの?ここで犯行行われてるんじゃないの?と丸わかりの状態でそのまま予想が覆ることなく最後まで読み終えてしまったという…。

あとがきにはネタバレが書かれていることがあるので注意していましたが、まさか本を買う時にだれでも目にするであろう裏表紙のあらすじに、余計なことが書かれているとは…。すごいショックでした。これ、何も知らずに読めたら、どんなに驚いたことだろう、と。早川書房、許すまじ…!

何年か後にネットでクリスティ関係のことが書かれているサイトを見るようになると、残念ながら『アクロイド殺し』は裏表紙でわかってしまったと言っている人がチラホラといて、被害者は私だけではなかったようです。悪名高き早川の『アクロイド殺し』の裏表紙。



尚、これは旧ハヤカワ文庫の時の話なので、リニューアルした今はどうなっているのかは知りません。多分変わってるんじゃないでしょうかね←適当

この作品、トリックにフェア・アンフェア論争があるらしいですが、正直私興味ないのよね、そういうの。そもそも推理小説読む時、私はあんま誰が犯人でどうやって犯行が行われたかとか全く考えずに、まるっと騙されるのを是としているので、叙述トリックやらなにやら小難しい言葉で、ミステリーとは、とかトリックに関しての論争とか読むと、”ふ~ん” という感じでハナクソほじくりたくなります。

推理小説たるものがどうあるべきかは知りませんが、個人的には嘘さえ書いてなければいいじゃん!これにつきます。せっかく騙そうとしてくれているんだから、素直に勘違いして最後にびっくりすればいいんじゃよ。まあこの『アクロイド殺し』では騙されることすらできなかったのですが。あぁ…恨みまするぞ、早川様。

正直この話、トリック以外の部分はそんなに見せ場がなく。スタイルズ荘・ゴルフ場の時よりは段々人物描写も面白みが出てきているし、当時の状況を説明する関係者達の言葉の裏にある各々の心理状況から真実を導き出す、というポアロの十八番の手法などが垣間見れるようにはなってきていますが、やっぱり中期・後期に比べるとトリック抜きにしても読みごたえのある話、とは言えない。

ちなみに私は、この話の中では比較的フロラとセシル・アクロイド夫人が好きです。特にセシル・アクロイド夫人、クリスティでよく出てくるお金大好きなこズルい女性で、色男のお屋敷の次男や、グラッディスという名前のメイドと同じぐらいクリスティ作品でお決まりの人物像です。人によってはまたかよ、と思うのでしょうが、私はこういうタイプは見ていると面白いので、来た来た!と思いますw 水戸黄門状態。フロラも、弱さとズルさと善良さのバランスが人間らしくて良い。

なおWikipediaの『アクロイド殺し』の項目によると、キャロラインがミス・マープルの原型、とクリスティ自身が述べているようです。言われてみればうわさ話好きで、家に居ながらにして村のすべてを知っていることや、常に最悪とまではいかないまでも悪いほうへ想像を働かせる所などは似ているのかもしれません。が、個人的にはキャロラインとミス・マープルはだいぶ印象が違うので聞いた時は驚きました。ミス・マープルの方が若干淑女っぽい、キャロラインはもうちょっと近所のおばちゃんっぽいw、どっちかって言うとセント・メアリー・ミードの三婆様(リドレイ夫人、ミス・ウェザビー、ミス・ハートネル)のイメージです。といっても、三婆様の区別がついていませんが。

というかそれ以前に、Wikipediaの冒頭にがっつりネタバレが書かれているのに驚いたわ…。可哀そうに…。




なんかこの話、ネタバレ食らったの以外に書くことないわ~と思っていたけれど、書きだしたら止まらない、特に早川書房への恨みつらみがw 10年以上たっているのに、今もまざまざと蘇るあの時のショック。個人的なこの体験ゆえ殆ど読み返したいと思わず、知名度の割にあまり気に入っていないこの作品ですが、ここまでショックというのはやはりそれだけ思い入れはある作品なのでしょうね。ということで、さすがにこれに☆4つはつけられんよな、ということで☆5つです。

早川書房、許すまじ…!


関連記事

 ,