旅行鞄にクリスティ

海外旅行とアガサ・クリスティのブログ 最近はマイリトルボックスレビュー・コスメ・ファッションに侵食されぎみ


【ドラマ】名探偵ポワロ『4階の部屋』 ―引き伸ばし感が気になる…

『4階の部屋』

旅行中も結構読んだしまだブログに感想上げていない本もドラマもどんどん溜まってしまっているのですが、とりあえず記憶の新しいものから上げてしまいます。まずは先週のドラマ、原作は中短編集『愛の探偵たち』収録の「四階のフラット」です。

原題は”The third floor flat”、直訳すると3階の部屋ですが、イギリスでは日本の1階がGround Floor(地上階)なので、イギリスの1階=日本の2階、原題のThe third floorは日本の4階となる。ヨーロッパの国は割とそんな数え方ですよね。イギリスだと地上階(日本の1階)のエレベーターでの表示の仕方は、数字の0や頭文字の「G」、ちなみに今回旅行で行った国での表示はフランスでは「R」、オランダでは「P」でした。「P」とあったので駐車場?とか思ってしまったり、地上階の他にも中1階なのか何なのかいくつかアルファベットの階があったりで、欧州のエレベーターは難しいわ。

…ということはさておき、題名になっている4階の部屋、というのは、The third floorなんだから46B号室ではなく36B号室のことでいいのよね? パトリシアじゃなくてグラント夫人の住む部屋。日本語で見るとなんかこんがらがってくるな。

あらすじ
ヘイスティングズは風邪を引いたポワロを元気づけようと推理劇に誘う。同じく観劇に来ていたポワロの部屋の階下に住むパトリシアとその友人達は、観劇を終えて部屋に戻ってきたが、鍵が見あたらない。荷物用のリフトを使って部屋に入り内側から鍵を開けることを思いつくも、ドノバンとジミーは一つ下の階の部屋に侵入してしまい、そこで女性の死体を発見する。



今回はドラマオリジナル部分が多いです。原作はパトリシア達が部屋の前で鍵が無いことに気づくところから始まります。前半の風邪のくだりも、推理劇もなし。そして後半の追いかけっこもなしです。前半部分はとても面白かったですが、後半の追いかけっこは ”あっちだ!追え~!” ”違った、こっちだ~” 的なドタバタで、なんかドリフのコントみたいな。ちょっと間延びした感、いかにも短い話を無理やり長く伸ばしました感がでてしまっていたような。

ヘイスティングズが風邪をひいたポワロに元気の素をあげましょうと招待した推理劇は、大方の予想通り風邪を余計に悪化させただけでしたがw本物の事件が起こってポワロさん全快。これもドラマオリジナルなんですが、なんとなく同じくクリスティのミス・マープルの短編で、ヘイドック医師がくすりを処方すると称して風邪を引いたミス・マープルにとある事件の話を聞かせる話を思い起こさせて、クリスティファンを喜ばせる脚本になっています。

ポワロは風邪を引いた時に、原作ではよく謎の煎じ薬なのかハーブなのかよくわからないものを飲んでいましたが、ドラマではさらに洗面器による謎の蒸気かなんかのよくわからない治療法を…。これはミスレモンがどこからか聞いてきたのでしょうか。そうなるとなんか効きそうではあるものの。この謎の洗面器療法やらサウナやら、この時代の流行りなんでしょうか、ドラマではポワロは何度かけったいな治療をしていますなw そういえば時代設定はちょっとずれますが、マープルさんもドラマで謎のサウナに入っていたわ。ダンディなはずのポアロさんの頭の上で毛がピヨピヨしていたのが笑えました。



大音量で蓄音機を鳴らしヘタクソなダンスを躍るパトリシア、私はめっちゃ迷惑な隣人だわ~と見ていましたが、ポアロさんはチャーミングな女性でしょう♪とかなりお気に入りの様子。さすがポワロさん、女性に甘いw 宝石泥棒に恋するぐらいだから、騒音ぐらいじゃ何ともありません。部屋から閉め出されて夜中に廊下で大声で歌うマドモアゼル達の姿を見て、ヘイスティングズと顔を見合わせて微笑ましそうににっこり。さすが紳士、この器の広さ、見習わなくては。

かつてポアロさんが愛したというパトリシアによく似た美しい、でも料理が下手なイギリス女性と言うのは、ロサコフ夫人ではないのよね?たしかロシア人だっだものね。誰なんでしょうね、これは。それともこの場限りのでまかせか。

 ⇒アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら

以下ネタばれあり

アンティーク エレベーター



ドラマではドノバンとジミーが36B号室で電気を付けてすぐに死体に気づいていましたが、原作ではその場では気付かず、一度46B号室に戻ってから手に付いた血に気が付いて、36B号室に引き返す流れになっています。カーテンから死体の足が出ていたものの、明かりを付けてもパッと見分らない程には、そして戻って来て見渡してもすぐには見つからないぐらいには死体が隠されていた、という設定です。

なのでメイドが死体に気付かず寝てしまうのも納得できるのですが、ドラマだと電気を付けてすぐ気づくような見つけやすい状態で、そんなんだったらさすがにメイドも気づくだろう…。間抜けな追いかけっこを追加するぐらいだったら、この辺を原作通りにやれば尺も稼げてよかったのに、と思わなくもない。しかし電気をつけてから46B号室に戻るまで自分の手が血まみれなのに気づかない(ふりをする)というのも、文章で読んだときはサラッと読み流してしまいましたが、映像で見るとなると不自然になりそうなので、どっちもどっちなのかな…。



ドラマでは被害者が結構嫌な人に描かれていましたが、原作では出番がありません。パトリシアに会いたいと手紙を出したということと、結婚証明書を取り寄せていたというエピソードのみで他に何の描写もなく、なんで階下に住んでいるかも説明なし。ドラマではそこらへんを嫌がらせで離婚を渋る性格の悪い妻、と言う設定にしているのでわりと納得できる話になっています。いますが、被害者が悪役っぽくなったのがなんとなく引っかかるのと、登場人物全体的にウザい感じになっているのがあまりこの話が好きではない要因か。特にパトリシアは原作の方が、ポアロさんの言うように”チャーミング”です。

今回は事件に関する部分は、不自然さが目についてう~ん、という感じ。ポワロと仲間たちの日常的な部分に関しては、ドラマ初期のほのぼの感満載な雰囲気で楽しめるので好きなのですが。なので後から見返したい様な、でも話としてはつまらないような個人的に微妙な作品です。

来週は「砂に書かれた三角形」です。


関連記事

 名探偵ポワロ,