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【ドラマ】名探偵ポワロ『100万ドル債券盗難事件』 ―ポワロの船酔い設定はどうなっているんだ…


『100万ドル債券盗難事件』

原作は 『ポアロ登場』収録の短編。フィリップ・リッジウェイがババソア氏の甥ではなくなっていたり、登場人物が増えていたり名前が変わっていたりと細かい変更点が多いです。そして一番大きな変更は、原作ではポアロは事件後に依頼を受けますが、ドラマでは事件が起こる前から依頼を受けて、船に一緒に乗っている点。

出たり引っ込んだりするポワロの船酔い・乗り物嫌い設定。今作では船でもピンピンしております。あの沢山あった瓶のおかげか…?原作では、一応初期の作品では何かに乗るたびプルプルしていたものの、いつの間にか乗り物酔い設定は消え去り船酔いの片鱗も見せずナイルまで長旅に。”この設定あると外国舞台の作品書きづらいんで~” とかじゃなくて、きっとポワロが努力して徐々に慣らして段々と克服したんでしょうね、うん。面白いかと思ってキャラ付けしたものの、意外とこの設定めんどくさかったので無かったことにしたとかじゃないよね!

原作収録の 『ポアロ登場』の感想でも書きましたが、一応原作シリーズでは、「ラヴェルギエの船酔い予防体操」とやらをやっているポワロが出てきているので、これで船酔い体質が改善されたとみることもできる。原作の「100万ドル債券盗難事件」では、例のラヴェルギエ船酔い予防体操を1・2時間やるなんて苦行がなけりゃ豪華客船で旅行すると言い、その3つ後の短編「総理大臣の失踪(誘拐された総理大臣)」では、フランスに渡る船の中でせっせと体操し、船を下りる間際にヘイスティングズに「ラヴェルギエの方法は驚くほどきく」と小声でささやく場面あり。

でもテレビドラマだと、20年前の船酔いがまだ治らないwはずのポワロが第1シーズンでは船に平然と乗っている、と思ったら他の話では飛行機上でプルプルしいて、また何週かあとには船に、とか割と設定が1話ごとにブツ切れていて一貫していないのがちょっと気になる。1話ごとに脚本書いている人が違うからしょうがないのかな。

でも話は面白いです。誰が犯人なの?と言うものもちろんですが、やはり船旅のシーンは、船内に食事に服装にいろいろ楽しめます。豪華客船にはいろいろお洋服を持っていきたいお洒落さんのポワロ。女子か。私は旅行時は割と荷物が少ないほうなので、あれもこれもと服や靴や化粧品をもって毎回大荷物になってひーひー言いながら持ち運び、結局使わずに持って帰ってくるという不思議な性癖のある人(←私の家族)を見るとイラッとしますw しかしポワロさんは豪華客船ですからね、TPOも幅広く、結婚式に着ていくような偽フォーマルでなく本物のフォーマルな服とかも求められるのでしょうね。ツアー利用の庶民旅と一緒にしてはいけませんね。豪華客船、乗ってみたいな~。

クイーン・メリー号のニュース映像があまりに本物っぽかったのでyoutubeで検索してみたら、ありました。本物のニュースを使っているみたいですね。最初の処女航海はこれ↓



映像は順番をいろいろ入れ替えていますが読み上げるニュースの内容も似せていて面白い。見比べてみると、途中にうまい具合にへイスティングズとポワロを挟んだんですねw

お帰りなさいクイーン・メリー号はこれの後半↓



⇒原作収録の『ポアロ登場』の感想はこちら:【本】『ポアロ登場』― 割とすっとんきょうなポアロです
アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら


以下、ネタバレあり

パリ 銀行 パリパ


隣の船室の中島みゆき似の美女と看護婦さんが同一人物…!分った後に見直してみても、まだ同じ人というのが信じられん。ほんと女性は化粧で化けるわ~これはヘイスティングスでなくともショックですね。しかしヘイスティングスも「違うでしょう。ミランダはすごい美人でした」「美女がさえない看護婦に」「女性は美人から不美人にかわれる」とか何気に酷い。お前は本当に英国紳士か?看護婦さんも結構可愛かったじゃないか。あんな黄昏てしまうほどショックを受けるなんて、なんてヘイスティングスは チョロい 純粋なんだ…、と思っていましたが、ポワロさん流に解釈すれば女性の容姿はあてにならないと気付いたのは大きな成長で祝杯を挙げるべきことのようで。さすがだわ。

犯行がばれたあとにそっとお互い寄り添い合う犯人カップル、犯罪は犯したもののお互いは大事に思っていたのね…。しかしあらためて見返してみると、自分の犯行がばれた時にポワロに単独犯と思わせてショー氏をかばっていたミランダ・ブルックスに比べて、「私が何か関わりがあるとでも言うんです?」とのたまったショー氏。…え、ひどくね?なんかこの話の男性はダメ夫揃い。

なお、ミランダはドラマオリジナルです。原作ではショー氏は単独犯で、自らが変装して船に乗り込んで偽札を海に放り込んでいます。ちょっとこれは危ないよね~。ドラマ版の方が犯行が上手くいきそうだし面白いしから好きです。冒頭の自動車事故やストリキニーネもオリジナル。

オリジナルと言えばエズミー・ダルグリーシュも、原作では事件後にポワロに依頼を持ってくるだけの役割なのでだいぶ変わっています。もう少しでポワロさんが帰ってくるんだから!とポワロを信じて待っていたのに目の前でフィアンセ逮捕されるなんてかわいそうな。あんなヒモみたいなギャンブル狂いの婚約者を見張るためにポワロを利用し、さらには上司のカギをとって婚約者をかばって、なんて情の深いお嬢さん、そしてなんてかわいそうなババソアさんw あの留置所は、もしや『ベールをかけた女』でポワロがぶち込まれたところか…?ポワロもそうでしたが、どんなに地位が高くてダンディな人間でも拘置所でしょぼくれていると間抜けに見えるんですね。ポワロが身元引受人になって迎えに来たのかと思ったら、聞きたいことだけ聞いて置いてっちゃうし。さらにフィリップ・リッジウェイに関しては覗くだけ覗いてそのまま素通りだし。ごらん、あれが通称「狂犬」と呼ばれている男だよ、的な。

最後一応めでたしめでたしみたいになってますが、あのヒモ男どう見ても不良債権。 『西洋の星の盗難事件』の時みたいに別れさせた方がよかったんじゃ…。

さて、来週は「プリマス行き急行列車」、そして来週から毎週水曜午後5時に再放送が始まります。4/6は第1話の「コックを捜せ」。
 ⇒関連エントリー:【ドラマ】名探偵ポワロ『コックを捜せ』 ―記念すべき第1話がこの話か!?


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