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【ドラマ】名探偵ポワロ『マースドン荘の惨劇』 ―オカルト風味盛り盛り、かわいいおっさんも盛り盛り

『マースドン荘の惨劇』

原作は 『ポアロ登場』収録の短編。あれ、これもっと荒野の中のお屋敷じゃなかったっけ…?ドラマ結構変えられているのかな…?と混乱していたのですが、同本収録の『猟人荘の怪事件』と混ざっていたわ。もう短編はいろいろごっちゃになってわけわからん。

しかしこの『マースドン荘の惨劇』も相当変えられていましたね。元は旧ハヤカワ文庫でたった24ページ程度のとても短い作品に、幽霊やら作家志望の宿主やら蝋人形やらデスマスクやらを盛り盛りと付け足して、オカルト風味のドラマに仕上がっています。結構おどろおどろしい感じ。

ですがいつもどおりコミカルな部分も盛り盛り。最初の、キラキラのお目目でまつ毛バシバシのポワロ蝋人形を見つけた本物ポワロの反応が好きで、何度も巻き戻して見てしまったわ。

ヘイスティングス 「もう閉館らしいですよ」
ポワロ 「でもちょっと…」

でも…とか可愛すぎだし゚∀゚):∵グハッ!! 大のおっさんが「でも…」とかw あの丸い風体で言われると破壊力がありますね。スーシェ版だとどうなのか英語にして聞いてみたら、こちらは割と普通だった。熊倉さんの吹き替えは、やっぱりポワロがかなり可愛くなる。

かわいいおっさんと言えば、病院の子ども用のお菓子を嬉しそうにほおばるヘイスティングズ。あなた確か先週、ジャップ警部に持って行ったお見舞いのチョコも絶え間なく食べていたわよね…?甘党というとポワロのイメージですが、ドラマのヘイスティングズは、甘いもの好きなのでしょうか。嬉しそうに食べて、ポワロと顔を見合わせてにっこり。なんだこのかわいいおっさん達は…。そしてラストの3人の掛け合い(いや4人か?)も、ほのぼのして好きです。ひたすらおっさんに萌えるドラマ。

アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら
⇒原作収録短編集の感想はこちら:【本】『ポアロ登場』― 割とすっとんきょうなポアロです ※ただしこの短編に関しては言及無し

以下、ネタバレあり

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とにかくマースドン荘が美しい。こんなお屋敷に住めるなら私もお金目当てで…となってしまいそうなw あの絵を描いていた部屋は温室なのか、アトリエなのか、居住空間なのか。

わざわざジョナサンを降霊させたのは、証拠がなかったからなのでしょうか?自白させるにしても、いまいちポワロが何を決め手に彼女が犯人と断定したのかわかりづらい。絵の影がおかしいってだけ?それとも卵のところで「まだあそこに…」と言っていた後に銃を発見したから?それに指紋でも付いていたのならわかるけど、そうじゃないならなんかちょっと説明不足な感じがあるような。新聞の件も、ブラック大尉が犯人でもOKなわけだし。

クリスティには、降霊術やらなんやらで「死者」を登場させて動揺・自白させる話がポワロ物の長編やミス・マープル物でも結構ありますが、そんなに死者が蘇ることが信じられていたんでしょうかね。降霊術や占い師なんかもよく登場するので、当時の流行りだったようですが。一瞬窓の外に映るだけとかならヒヤッとするだろうけれども、あんな状態でじっと見てたら、いやなんかのしのし歩いてくるあれ偽物だし、となりそうな。後ろ暗いことがあると、あんなんでも逆上してしまうんですかね。


証拠がないから犯人をはめてしっぽを出させる方法というのは、どちらかというと同じくクリスティの描く探偵ミス・マープルの十八番ですけど、ポワロもやることはある。どっちも地べたに落ちているような証拠ではなく人間性メインで推理し、パーソナリティーの類型やら話す言葉から犯人を導き出すため、物的証拠なし、という展開になりやすい。でもそれだと、こういう解釈もできます、程度の説得力しか感じられないのでちょっと物足りない感じがしてしまいます。

話は変わって、宿屋の主人がなかなかインパクトあっていいキャラだったので、また他の話でもでてきたらよかったな。「2階の窓から毒を塗ったダーツをケーキに打ち込んだんです」 もう、この時のポワロは、半分しか当たっていない照明も相まって悪い顔していましたね~w なかなかよいコンビです。

悪いと言えばラストのスーザンの「あなたの…?フッフフ」も悪かったですが、原作のラストも悪い女です。こっちは、夕食の席でたまたま話題になった自殺方法にヒントを得た妻が、そんなふうにして本当に自殺ができるのかちょっとやって見せてと夫にねだって鉄砲自殺の恰好の真似をさせる。そして笑いながら引き金に手をかけて、引く。怖いですね~。寝てる時に口に妙なもん突っ込まれるのも、なんか夢に出てきそうで怖いですが。私だったら思わず振り払うか、思わず食べてしまうかw でも反射的に顔を背けられて起こしてしまいそうだし、そしたら鉄砲構えた状態でもう言い訳できないから普通に撃ち殺すしかないし、これは結構危ない犯行方法ですよね。いずれは安全にお金が手に入るんだから、何年か先に旦那の不摂生が祟ってころっといくまで我慢すればよかったのに…なんてことは考えてはいけませんね。

それにしても、最期に見る景色が、自分の喉の奥を狙って引き金をひく妻の顔とはね。ここが一番ホラーだわ。

来週は「二重の手がかり」です。


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