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【ドラマ】名探偵ポワロ『盗まれたロイヤル・ルビー』―クリスティのクリスマス物にハズレ無し

『盗まれたロイヤル・ルビー』

毎年1回新作が発表されたとかで「クリスマスにクリスティを!」と言われただけあって、クリスティとクリスマスはよく合います。『パディントン発4時50分』しかり『ポアロのクリスマス』しかり、クリスティのクリスマス物にハズレ無し。このドラマの原作は短編集 『クリスマス・プディングの冒険』に収録された同名の中編「クリスマス・プディングの冒険」です 。私はこの短編集は未読ですが、この「クリスマス・プディングの冒険」のさらに元になった短編「クリスマスの冒険」(『マン島の黄金』収録)は読んでいます。

「クリスマス・プディングの冒険」が元の題名なので、クリスマス・プディングが事件に関わってきます。しかし別にプディングが冒険したりはしない。

伝統的な工程では、生地を加熱する前に家族全員で1回ずつ願い事を唱えながら生地をかき回し、かき回しの儀式を終えた後に型に流し込んで蒸しあげる。この時、生地を混ぜる向きは時計回りでなければならなく、反時計回りに混ぜると縁起が悪いと考えられていた。

とのことで、家族総出で楽しいことを考えながら生地をこねてこねて作られるクリスマス・プディングに現されるように、今作はとっても可愛らしくほっこり温かい作品。以下あらすじはNHKオンラインより引用。

エジプト王子からポワロに依頼が。古代王朝から伝わるルビーが盗まれたというのだ。

クリスマスの日、突然、ポワロは外務省に連行される。エジプト王子からの極秘の依頼で、盗まれたルビーを取り戻してほしいという。そのルビーは古代王朝から伝わる高価なもので、政治的に利用される恐れがあった。ルビーのことを知っていたのはエジプト学者のレイシー大佐一家だけだという。ポワロは大佐のやしきに潜入する。


冒頭、口から卵を産むめんどりのような声(どんな?)をあげてチョコレートの味見をするポワロを、そわそわと見つめるチョコレート店の店主。褒められて喜色をあらわにしていましたが、ポワロのようなこだわりがあってうるさいタイプはお客としては面倒な反面、認められたら嬉しいのでしょうね。おいしそうなチョコレート片手に浮かれていたところをかっさらわれ、外務次官にセントラルヒーティングを餌に見事に釣られ(しかしその間もチョコレートは片時も手放さない)、アホの王子の後始末と英国の未来のためにクリスマスの一般家庭に送り込まれるポワロさん。不本意かと思いきや、意外とウキウキ顔で車にのってレイシー家へ向かっていた。実はクリスマスに一人はさみしかったのか…wと見ていたら、おっとエルヴィラが!

今作の登場人物には、クリスティ関連でどこかで見たことがあるような人が結構いて。まずはセアラ役はヒクソン版ミス・マープルの『バートラム・ホテルにて』でエルヴィラを演じたヘレナ・ミッチェル。また怪しい男に引っかかっておるw そしてレイシー大佐は同じくヒクソン版ミス・マープルの『スリーピング・マーダー』のドクター・ケネディ。レイシー大佐の奥さんもどこかで見たことがあるような気がしたのですが、こちらは単にあご勇に似ていただけかも。

今回は珍しく子供たちがころころとはしゃぎまわっています。クリスティの話には子供たちが出てくる印象はあまり無いのですが、出てくると『パディントン発4時50分』のアレグサンダー&ジェイムズなどパッと話が明るくなるのでクリスティの描く子供は可愛い…と思ったけど、そういえばブタ殺すの無邪気に楽しみにしていた子供(『邪悪の家』=エンドハウスの怪事件)とか変質者に喜んでいる子供(『死者のあやまち』)もいたわ。クリスティと子ども達ではなく、クリスマスと子供という組み合わせが良いのか。

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以下ネタバレ

クリスマス ベルギー


なので、ブリジットが血まみれで倒れていた時は、いや~となりました。ブリジットに慌てるポワロの後ろで”おっさん騙されてるよ”とほくそ笑む子供たちに、「わかっていませんね…冗談ではありませんよ。このお嬢さんは…脈がありません!」 これまでのクリスマスのほんわか浮き浮きムードが合っただけに、こんな悲劇はダメージがでかすぎる。でもこれ確かお芝居だったような!でも私よく話の筋間違って覚えているし…!いやほんとは死んでないはず!死んでいないって言って! しかもレイシー大佐も起きないし!こっちは割とどうでもいいけど!

でも結果は、ポワロを騙そうとした子供たちをさらに手玉にとり、ついでに犯人も手玉にとり…いやついでじゃなくこっちが本命だった。ポワロさんはなかなか迫真の演技で、まるで俳優のようだったわw 殺人劇は犯人確保、兼、子供たちへのクリスマスプレゼントでしょうか。おちゃめで優しいポワロおじさん。こんなクリスマスがあったら、子供たちは忘れられないだろうな。今作で一番冒険したのは子供たちかも。原作の題名は 『クリスマス・プディングの冒険』で、クリスマス・プディングにまつわる冒険的な意味だと思うけど、なんとなくこれだとプディングが冒険しそうw なのでさらに元の題名の「クリスマスの冒険」の方が話には合っている気がする。でも響きは『クリスマス・プディングの冒険』の方が可愛いな。どっちも好きです。しかし『盗まれたロイヤル・ルビー』、お前はダメだ。よりによってなんでこんな可愛げの無い3流ミステリーみたいな題名に…。

とても好きな話ですが、クルって回して身代わりに飲ませた睡眠薬が毒だったらどうするんだ、というところだけがひっかかりますw ポワロひどいw 替わりに眠らされた大佐はなかなかいい味出してました。「なぁお前、あの探偵の男だが…あれはたぶん外国人だ。」それに対する、夫のおとぼけには慣れっこらしき奥さんのいなし方もよい。大佐も嬉しそうだった。なんだか犯人以外は皆ほっこり幸せな話で良いですね。何回も見返したくなる作品。

次は「戦勝舞踏会事件」です。


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