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【ドラマ】名探偵ポワロ『戦勝舞踏会事件』 ―悪趣味で華やかな仮面舞踏会の世界へ


『戦勝舞踏会事件』

原作は、短編集『教会で死んだ男』収録の「戦勝記念舞踏会事件」 です。冒頭ポワロが視聴者に語り掛けるようなナレーションで、まるで舞台の幕開けです的な珍しいオープニングと思ったのですが、これは後半のラジオの謎解きのシーンにかけたのでしょうね。

ヘイスティングス「ポワロさんに会うには一生のハイライトだって」
ポワロ「では、やはり行きましょうか」

www さすが相棒、扱うのが上手い。先週の外務次官といい、ポワロさんを動かすには、おだてるかセントラルヒーティングで釣れば良いようです。

ヘイスティングズは前にも映画監督かなんかと知り合いだったし、芸能関係へ顔が広いのでしょうか。保険協会で働いていた退役軍人と芸能関係、どこに接点があるんだ…。

 ⇒関連エントリー:【ドラマ】名探偵ポワロ『クラブのキング』 ―え、それでいいの?

あらすじ
仮面舞踏会で起きた殺人事件。ポワロがラジオに出演しながら事件を解明する!

戦勝記念日の仮面舞踏会に出かけたポワロは、クロンショー卿とその恋人で女優のココの口論を目撃する。彼らは喜劇の一座にふんして参加していた。ココが別の男性と帰ってしまった後、クロンショー卿が刺殺体で発見される。彼の衣装のポケットにはCの頭文字がついた小さなケースが入っていた…。
引用元:NHKオンライン

しょっぱなから仮装しているので登場人物がなかなか覚えられませんが、仮面舞踏会にラジオドラマ、本格的な仮装の衣装にマイセン人形、登場人物も貴族に女優にとなかなか華やかな舞台設定で、見ていて楽しい話。仮面や喜劇、ピエロなどが出てくると、華やかな中にもどこか不気味で悪趣味な雰囲気があってワクワクします。しかし原作を知っていてもかなり誰が誰だか混乱しましたが、登場人物も多いし初見の人は大丈夫だったんでしょうか…。

今作のお気に入りの登場人物は、マラビー夫人です。クリスティに出てくる欲望に忠実なお金目当ての女性は見ていて面白いので結構好きなのですが、マラビー夫人はさらにからっと明かるくてなかなか良いキャラ。特に「ヤッホ~!クロンショー子爵ぅ~♪」のシーンが好きです。ヤッホ~とか実際に言っちゃってる人見たことないよ…と思ってふと英語版にしてみたら、そちらでもヤッホーと言っていた。ヤッホ~というかyo-hoなのかな。あっちでもヤッホ~とか言うんだ…。というか、そもそもあちらが語源?ちらっとネットで調べてみたのですが、諸説あってどこからこの掛け声がきたのかは定まった解釈が無いようです。そしてさらに、衣装のポンポンは、英語でも「ポンポン」と言っていた。ポワロ見てると、いろいろと使いどころが思い浮かばない英単語の勉強になるわw

英語版で思い出しましたが、怪傑紅はこべしかりラジオドラマの登場人物紹介しかり、今回は演劇がモチーフになっているせいか言い回しが詩的と言うか、お芝居のようで。日本語版も独特の言い回しになっていましたが、英語版だと韻を踏んだりリズムに乗った感じになっているのかな?こういう昔の演劇調のセリフが雰囲気にあっていてよかった。

煌びやかな仮面舞踏会、浮かれ楽しむ笑顔の人々、カウントダウンの興奮の中の死体発見。なかなか悪趣味。悪趣味ですが盛り上がります。しかし目と鼻の先で殺人事件を起こされたとあっては、これは名探偵としての面目丸潰れです。しかも連続でやられるし。

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以下ネタバレあり

クレドポー 仮面舞踏会


警察は死体の手の中、見ないのか…?海外ドラマの『CSI』とか見ていると、遺体は爪の間やら上から下から外から中から、隅々まで調べられるもんだと思ってしまうのですが、この時代のイギリスはそうではないの?探偵の活躍する推理小説では警察は無能に描かれ過ぎと感じること多く、いくら話の都合であってもさすがにそこまで警察もおバカではないだろうと思ってきました。でも、クリスティの描いた当時こういう描写もするっと受け入れられたのだとしたら、当時の警察は本当にこんなんだったんだろうか…?「我々が見落としてることなんてあるはずない」とか言ってこんなでっかいの見つかってますけど、ジャップ警部。それとも、貴族相手だと容疑者であっても捜査しないとかそんな描写も出てくる時代なので、貴族だと遺体の場合も解剖とか憚られるんだろうか。なんか今作ではヘイスティングズの方が有能に見えるほど。こぶしの件やデビッドソン宅でのむせたお芝居等、機転が利いてまるで有能な相棒のようだったわ、ヘイスティングスのくせに!

俳優というものはやりすぎる、というのを当の俳優たちが言っているのが面白い。ドラマではイギリス人の悪口をイギリス人が描いているし、わりとこの辺、日本人の自虐的謙遜となんとなく通じるものがあります。『テルマエ・ロマエ』の平たい顔族、的なw 他の国の人が言うと大変なことになりますが、自分たちで言う分にはね。

上司のラジオを嬉しそうに聞く様子が可愛いミス・レモンと、ジャップ警部のちょい待ちとポワロのタァ~クシィにほんわかしてつい忘れてしまいそうですが、今作の犯人は自分の身が危うくなると即座に2人殺した冷血漢。この慣れ具合、余罪もあるのか?しかも夫思いの奥さんに罪を擦り付けようとしたし。麻薬の売人で、これまでも多くの人を破滅に追い込んできただろうこいつは、これまで出てきた犯人の中でもかなりの下劣さ。特に言及されていないですがおそらく絞首刑なんでしょうね、ぴったりです。

さて、明日は「猟人荘の怪事件」です。

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