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【ドラマ】名探偵ポワロ『ABC殺人事件』 ―原作の方が好きだけれども


『ABC殺人事件』

名探偵ポワロシーズン4、ということでここから長編3連発。本国イギリスでの放送では、前シリーズの最終話『猟人荘の怪事件』から1年近く後に放送されたようです。それに合わせてか冒頭のポワロとヘイスティングズはずいぶん久しぶりみたいで、南米に長期休暇に行っていたヘイスティングスは住んでいたところも引き払っており。

今回ミスレモンは出てきませんが、いつごろから出番が減っていくのかな?ドラマは放送順に見ていなかったのでいまいちよく分からん。原作では出てないのでこの話にいなくても別におかしくはないのですが、突然消えてお茶入れとか手紙整理とかのミス・レモンの仕事をポワロがやっていると違和感ありますね。そして食後のお皿拭きながらの推理で、無言でお皿がヘイスティングス⇔ポワロ間を行ったり来たりしているのが面白かったw ダメ出し、洗い直しはもう無意識でもできるぐらい何度も行われている一連の作業なんでしょうな。

ジャップ警部は原作以上に残酷だったというのに、ドラマ版ヘイスティングスは頭頂部の具合を指摘されてもブチ切れもせず、手を当てるのみ。毛にまつわるコントは大分カットされて、そのかわりにワニがw

 ポワロ「お友達ですか…?」
 ヘイスティングス「セドリックですよ」

セドリックを見つめるポワロの目が鋭い。相川変わらず光るポワロの顔芸。

話は小さな改変はあるもののおおむね原作通りです。一番大きな違いは殺人の起こる間隔で、原作では6/21、7/25、8/30、9/11と月一で起こっていた殺人事件が、ドラマでは10日間で3つとか。かなりタイトなスケジュールで、こりゃ犯人も警察も大変だろう。

⇒原作感想はこちら:【本】『ABC殺人事件』 ―連続殺人と人間狩りと
アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら


以下ネタバレあり

ワニ シンガポール


ただ大きな改変は無いと言っても、映像で見ると本で読んだ時よりなんか粗が目だったような。ホテルを指定していたとはいえ、犯人は人であふれるドンカスターでどうやってカスト氏の居場所を見つけたんだよとか。カスト氏も、内面があまり描写されないので割とただの挙動不審の人に。こうあからさまに怪しいと、犯人じゃないのがわかりやすくなってしまったかも。顔も最初からばっちり映るので、もしかしてこの男誰かと同一人物?という疑いも持てないし。そういえば、カスト氏の記憶障害が癲癇によるもの、という説明は省かれていたようですが、なんかの規制にひっかかったんでしょうかね。

そして一番気になったのは犯人の人物像。原作だと、犯人は大胆でばくち好きで少年ぽさの残る性格で、ベティを連れ出すことができるぐらい魅力のある男とあって、会話なんか見てもわりとコミュニケーション能力の高い女性にもてそうな男性という感じだったけど、ドラマだと思った以上に年配でエラそうで男性的な魅力がいまいち無かった。原作版グレイ嬢のような遺産狙いタイプに妻の座をちらつかせるならまだしも、さすがにその年齢でその場かぎりの遊びで若い女の子を夜海外に誘いだせたというのは無理があるよ…。パパ的な感じだったり、よっぽどの利害関係があるならまだわかるけど、そういう描写でもなかったし。原作では殺害された兄が50代後半というのみで弟の年は明記されておらず、かなり年の離れている弟なら食事程度ならベティを連れ出すこともできそうと漠然としたイメージで想像していたけど、ドラマになって実際の映像で見ると、う~ん。実写って残酷だわ。この年齢差は現実的にかなり無理を感じました。絶対無理とは言わないけど、少なくとも殺人をする場合、この誘い出しが成功する確率にかけてみようとは思わん。そしてステッキみたいな凶器、別に重そうにも見えないのに一発で撲殺☆テイッ!そんな…。巨大な綿棒みたいな外見なのに殺傷能力が高すぎる。

…と文句を言いながらも、実際の所約100分楽しんで見てました。この作品で原作とドラマどちらが好きかと言えば原作の方ですが。やっぱり連続殺人だと見ていてハラハラするので長さを感じず飽きずに見れる。合間合間のレギュラー陣の会話も楽しい。冷静に考えると、予告受けてから結局4人も死んで全くめでたしめでたしじゃないよ最後笑っている場合じゃないよという感じですが、それでもやっぱり見終わって面白かったと思ってしまう。特にヘイスティングズの長話を聞かされないよう、ジャップ警部とポワロと仲良くそ~と出ていく終わり方が好き。ラストの音楽の入り方も優しくていいわ~。

来週は『雲をつかむ死』、これまた楽しみな長編で、放送時間は午後3時から。

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