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【ドラマ】名探偵ポワロ『メソポタミア殺人事件』 ―やっぱり無理


『メソポタミア殺人事件』

原作は退屈だった印象しかなく、いつものイギリスのお屋敷や重厚な調度品もないしアンティークムードのかけらもなくてつまらんと思っていた話ですが、ドラマになると異国情緒あふれるロケ先に映像を見ているだけでも楽しいですね。中東には行ったことがないので、見ていると行ってみたくなります。しかし夜ごと蚊との死闘を繰り広げ、まとわりつくハエを追い払わなければならないようで。う~ん。

あらすじはNHKオンラインより―

バグダッドの遺跡調査隊で謎の連続殺人事件が発生。ポワロが調査に乗り出す。

バグダッドの遺跡調査隊の宿舎に招かれたポワロ。リーダーのライドナー博士と妻のルイーズ、そして研究員たちがいた。その遺跡では一人のアラブ人が殺される事件が発生し、作業員が研究員を襲う事件も起きていた。その後、ルイーズはポワロに打ち明け話をする。彼女には結婚歴があったが、亡き夫らしき人物から「俺は待っている、ほかの男と結婚したら殺す」という脅迫状が何年にもわたり届いているというのだ。

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⇒原作感想はこちら:【本】『メソポタミヤの殺人(メソポタミア殺人事件)』(アガサ・クリスティ/ポアロ) ―無理

以下ネタバレあり

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中東行ったらとりあえずコップと紙は手近なところに置いておくべし、というのがこの話の教訓。いやそもそもコップで蚊を捕まえる人は初めて見ました。しかも外に逃がしてるし。潔癖症のポワロさんには、手で叩くなんてことはできないのね。私は全く潔癖症ではありませんが蚊が手で潰れるのが嫌で素手では叩けないので、気持ちわかるわ~と思っていたら2匹目はイラッとして手でつぶしていたw

…なんて微笑ましいコントが繰り広げられた後に塩酸のシーン。これは本で読んだ時も嫌でしたが、映像で見るとキツイですね。自分で用意した(と思った)コップに入っていたものをホイッと飲んだら塩酸だったなんて、想像しただけでゾワゾワします。下手なホラーより怖い。もうちょっとぼかして映してほしかった。

反対に、もうちょっと原作に忠実に再現して欲しかったのがレイドナー夫人の配役。原作感想時に「この話のキーとなるのがレイドナー夫人の人物像」と書きましたが、人の容姿についてあれこれ言うのもなんですがこれじゃポワロの推理に全くもって説得力がないよ。ドラマに出る人が皆美男美女である必要はないけれど、容姿端麗であることが物語の重要なポイントを占めていたりすごく印象的であったりする話では、イメージに合った役者さんを起用して欲しいわ。この話とか、『杉の柩』のメアリィとか。

話の筋に関しては、細々としたところは変わっているものの大まかなところは変更なく、原作同様やっぱり無理があるよな、の一言に尽きる感じ。ただ思ったよりも屋上が低く窓と近かったので、これなら原作読んだ時に心配していた石臼外すこともなくて、「ハハハ驚いたかいハニー、サプラ〜イズ」する必要もないですね。でもそんなに念入りにタイミング見計らって準備しても、夫人が寝てなくて窓のすぐそばにいたら、お面釣るして窓叩いて、急いでお面引き上げて横に置いて、そんで石臼持ち上げて―とかしてる間に先に顔だしちゃうよね?あなた何やってるの状態だよね、やっぱりHAHAHA驚いたかいハニー、サプラ〜イズする必要があるよね。とか、実際やろうとするとなかなか大変な殺害方法ではあります。やっぱり無理だろ。

その他気になるところと言えば、最後に博士が罪を認めるところで、原作では「疲れました、アンには悪いことをしました、私がルイズを殺しました、彼女を知っていればわかってもらえるでしょう」と静かに自白。一方ドラマではケアリーに「お前には渡さんぞ!」と恨み言を言っていました。ここは原作の方が、魔性の女性にどうしようもなく振り回されてしまった人間の哀しみが出ててよかったかも。ドラマ版は博士がちょっと小物化してる?原作だとルイズを殺すのは納得できるのですが、ドラマ版だとルイズじゃなくてケアリーを殺した方がしっくりいきそうな。まぁ、悪いのは浮気相手よりも浮気した妻なんでしょうけども。

ポワロさんは最後上手いことロサコフ伯爵夫人に巻き上げられていましたが、これはドラマオリジナル。あのお金は、ドラマだと今度会ったとき=『ヘラクレスの難業』時に清算してくれたんでしょうかね。ロサコフ伯爵夫人はいい加減だけど義理堅そうだし人情はある(ドラマ版のヘラクレスに登場するロサコフ夫人は、ドラマ版の『二重の手がかり』の悲壮感溢れるロサコフ夫人ではなく、原作の方のイメージに近い)ので、意外とちゃんと返してそう、…覚えていれば。ヘラクレスでのケーブルカー越しの嬉し気な再会シーンは、10年ごしにやっとお金返してもらえる…!という喜びの混ざったものだったのでしょうか。ちなみに、この話は原作ではロサコフ夫人はもちろん、ヘイスティングスも出てきません。妻帯者になって調子に乗ってポワロに女性心理を説教して怒られていたヘイスティングズ、ヘイスティングスのくせに女心を解説しようだなんて生意気だわ。

ライドナー博士は有名人と必ず集合写真をとるとか、他人になりすました人が写真に写りたがるか…?後で事件解決のヒントになるんだろうか…と思ってみていたのですが、そういえばその後写真全く出てこなかった。なんのために撮ったんだ。屋上に臼があるのを知らせるためだけか…!ありえん。でもポワロさんのキメポーズが可愛かったから良し。

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