旅行鞄にクリスティ

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【ドラマ】ミス・マープル『バートラム・ホテルにて』―そこだけ時が止まった古き良き時代のホテル、のはずだった




『バートラム・ホテルにて』

ミス・マープル役:ジェラルディン・マクイーワン 
本国放送:2007年 

マクイーワン版マープルの方の『バートラム・ホテルにて』を見ました。私はマープル物はマクイーワンから入ったので、彼女の演じるマープル自体にはさほど違和感がないのですが、今回は脚本が…映像が…。

原作『バートラム・ホテルにて』の魅力は、話としては正直微妙だけれどもなんといってもそのホテル自体にあると個人的に思っているのですが、このドラマ版は残念でした。なぜかここだけ古き良きイギリスに戻ってしまったかのような、昔とちっともかわらないバートラムホテル…の、はず…ん?なんか現代風じゃないか?しかもちょっとけばけばしいし、とても騒がしくて落ち着かない。え~こんなのバートラムホテルじゃない~。最近作ったものだから現代臭がしてしまうのはしょうがない部分もあると思うのですが、登場人物のメイドやら警部やら、全体的に服も現代的な感じで、しかもたいして素敵な感じでもなく。この辺はヒクソン版の圧勝です。



 ⇒ヒクソン版感想は バートラムホテルの世界-『バートラムホテルにて』感想
 ⇒原作『バートラム・ホテルにて』感想はこちら
 ⇒アガサ・クリスティ 作品・感想一覧はこちら

グランドアマラス アムステルダム ホテル


話もかなり改変されています。原作とは完全に別ものです。もとの話もそこまでいいものでもないので改変はいいのですが、ごっちゃごちゃといろんな話が同時進行して、最後全部絡むのかといったら別の事件のままで、なんか拍子抜けというか、あ、そうですか、みたいな。メインの殺人事件の動機もいまいちだったな…。メイドさんは、バートラムホテルに期待するメイドとしては現代臭がしすぎて残念でしたが、でも人物としてはわりと好きでした。なんでこんな事件に興味持って頭つっこんでくるんだ?それに警部もメイドやらミス・マープルやらの部外者に事件のことを話しすぎ、と突っ込みどころ満載ではありましたが。



最後にミス・マープルから犯人へ説教が入ります。これは犯人確保が曖昧に終わった原作がモヤモヤして嫌、という人たちが結構いるせいでしょうか。私は先にも書いたとおり”必ず捕まえて見せる”という決意で終わる、原作での余韻のある終わり方も好きですが、こちらの終わり方もよかったです。クリスティの感想の中で、私は結構犯人役に共感・同情的なことも書いていますが、それはそれ、これはこれで、同情はしても罪を軽くすべきとは一切思わないので、このラストはスカッとしました。悪人だけど根はいい人的なお涙頂戴系の話やら、不幸な生い立ちやら、犯人への情状酌量が嫌いなので、ばっさり裁いて頂きたい。どんな事情があろうと殺人犯は殺人犯。このへんの立ち位置は良かったです。

あなたは2人も無残に殺したのよ。何言っているの。あなたのしたことは悪気がなかったじゃすまないでしょう?

 
       
 
         
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