旅行鞄にクリスティ

日々のあれこれを忘れ、手の届く贅沢で自分を甘やかし明日への活力を養うブログです。バッグにアガサ・クリスティを詰めて行く海外旅行が最大のご褒美。


【映画】ポアロ『死者のあやまち』―というか製作者のあやまちというか(アガサ・クリスティ原作 ユスチノフ版)


『死者のあやまち』 

発表:1986年 
ポアロ役:ピーター・ユスチノフ (スーシェ版の感想はこちら

ピーター・ユスチノフ演じるポアロを見るのはこれが2作品目。ポアロはどうしてもスーシェのイメージが強いのですが、意外と『地中海殺人事件』がよかったので、他のユスチノフポアロも見てみよう、と思い視聴…したんですが…

…え?何これ?!登場人物達の髪の無駄な立ち上げ、肩からミサイル打ちそうな無駄にでかいジャケット、写真みたいな柄の入ったTシャツやらそこかしこに立ちのぼるバタ臭い80年代臭wなにこれw酷いw 

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よりにもよって、この時代のまま再現するとは…。ファッションの歴史でもっともダサい時代と言って多くの人が思い浮かべるであろうのが80年代後半から90年代前半、日本でいうバブル期。当然のことながらこの作品のファッションも酷いです。クリスティ作品は古い時代感やファッションが大きな楽しみの一つなだけに、ここで大きく点を下げ。この作品の4年前1982年に発表された同じくユスチノフのポアロシリーズ『地中海殺人事件』 では、奇抜で昔風でド派手な、とても参考にはならないしオシャレなのかもわからんファッションのオンパレードだったけれど、でもこれぞ女優と言う感じで格好よく見ていて楽しい作品だっただけに、今回のは全体的に残念です。80年代の前半後半でセンスの良さに明らかな差があるようで…。服装だけでなくお祭りの雰囲気も残念だったな~。



なんでこんなに差があるんだ、この4年で何があったのかと思い調べたところ、どうも『ナイル殺人事件』と『地中海殺人事件』はイギリス映画で脚本・製作等スタッフも共通だけど、この『死者のあやまち』『エッジウェア卿殺人事件』『三幕の殺人』はアメリカのテレビ映画で、同じようにユスチノフがポアロを演じてはいるものの特に『地中海殺人事件』等のシリーズとは無関係…?あぁ…確かに80年代のアメリカ臭がするわ…。まぁ文句を言ってもしょうがないので、ファッションには目をつぶってみるとするか。

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―そしてなぜか登場するヘイスティングズ。ヘイスティングズ…!?最初名前を呼ばれた時はびっくりしました。おまえヘイスティングズだったのかよ!と。ただのその他村人1と思っていました。へらへら笑って何でいるのかわからないヘイスティングズ。いや、原作でもどっちかというと何しに来たのという単なるストーリーテラーですけど、でも誠実で馬鹿正直な英国紳士だったはず。お馬鹿ではあっても、断じてこんなヘラヘラペコペコした頭の弱そうな人物ではない!と、特にヘイスティングズ好きでもない(どっちかというと話進まないから出て来るな派の)私も衝撃を受ける程のミスキャストでした。なんだあの豆みたいな男は…。

他に意外だったのがハティ・スタッブス、原作を読んだ想像では頭の弱い天然風美人という感じでしたが、映像ではかなり意地悪な感じで。でも嫌いではありません。いや現実にいたら嫌だけど、映像で見る分にはこういう美人は好きです。しゃべり方も含めてずっと誰かに似ているな~と思っていたら、そうだ、パリス・ヒルトンそっくり。歌うようにしゃべるところとか、流し眼の感じとか、性格悪そうなところとかw計算高いところとかw ちなみにパリスも、見る分には結構好きです。

秘書のアマンダ・ブルイスは結構な美人さんでした。ハティがアマンダを、「誰も私にはかなわない。質素な女なんか魅力ないわ、アマンダを見てよ」みたいに容姿をからかう場面がありましたが、いやいやアマンダの方が上じゃないか…と思うほどに。スーザン・ウールドリッジという女優さんらしく、上品な服装や良い姿勢と相まって綺麗でした。でも「男は愚かです くだらない女を結婚相手に選ぶからですわ」という言葉が似合う、頭のよいスマートで有能な美人秘書である彼女も、男選びにかけては彼女自身が愚かだったのが皮肉ですね。

オリヴァ夫人は、イメージピッタリでもなかったけど、まくしたてる様に訳わかんないことをしゃべるところはよかったかな。スーシェ版のオリヴァ夫人は全体的にエキセントリックさが足りない、上品すぎたので。



見ていて面白かったのは綺麗な女性陣とインテリアぐらいか。話の内容は原作に割と忠実ですが、最後はちょっと違います。いろいろはっきりさせていますね。でもなんとなく盛り上がりに欠け、原作のイベント取りあえず全部こなしましたよ感がありました。この作品に関してはスーシェ版の『死者のあやまち』の方がダントツに好きです。

 ⇒原作『死者のあやまち』読書感想はこちら
 ⇒スーシェ版ドラマ「名探偵ポアロ」の『死者のあやまち』感想はこちら
 ⇒アガサ・クリスティ 作品・感想一覧はこちら

 
       
 
         
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