旅行鞄にクリスティ

日々のあれこれを忘れ、手の届く贅沢で自分を甘やかし明日への活力を養うブログです。バッグにアガサ・クリスティを詰めて行く海外旅行が最大のご褒美。


【ドラマ】ミス・マープル『魔術の殺人』―種も仕掛けもあります、な犯行(アガサ・クリスティ原作)


『魔術の殺人』
出演: ジョーン・ヒクソン (マッケンジー版はこちら

作品冒頭SAVOYホテルのシーンでかかる、いつものテーマソングのアレンジバージョンが良いです。SAVOYホテルの内装も、ストニーゲートの内装も素敵、これは期待できる、と思いきや…

突然始まる前衛舞踊(?)。前衛なのか、当時の前衛なのか、なんかACの広告とかに通じる妙な古臭さを感じる踊りが。そして何度か映る施設付属の舞台裏のシーン、なんだかミス・マープルものにしては違和感バリバリ。もろセット感があって、現代的、というか80~90年の現代的というか。特に青年達の喧嘩シーンが残念な出来です。訳のせいなのかわかりませんが、台詞めいた現実味のない口調で喧嘩を煽る施設の子供たち。おまえら絶対不良じゃないだろ、と突っ込みたくなるような迫力と現実味のなさに、思わずいにしえのNHK教育の番組「3年3組~」(こんな番組名だったっけか?)を思い出す。



そしてそれを止めるスティーブンも、軍人という設定を意識しての動きなのか、妙にきびきびしてるけど、なんだろう、昔のTVドラマの喧嘩シーンを見ているような感覚に陥る。なにこの昭和臭…いや、つくられたの平成だけど。いちいち一人一人アップでカメラ目線でしゃべったりするからね。全体的に古臭くて、なんか、なんかものすごくダサいです…。犯罪者の更生というテーマもあるせいなのか退屈な説教臭さがあって、突然「A~C~」というナレーションが入っても驚かないわ。AC広告とか、映画前にある映画泥棒のパントマイムとか、自動車教習所とかで見る何十年前に作ったんだよというような教習ビデオと言えば伝わるかな…。

場所がお屋敷等クラシックな場面に移ると、いつものミス・マープル物な感じです。舞台裏とか、ダンスとか、ちょっと現代的なシーンになると、突然妙な時代遅れ感が。ヒクソン版のマープルは、その古い映像と雰囲気が魅力ですが、今作に限っては古さのダサい面が悪目立ちしている―というか製作年を思わせる質の悪い古さが出てきてしまっているというか。

でもまあところどころ立ちのぼる昭和臭を払いのけつつ、頑張って視聴(あらすじは原作感想↓参照)。はかなげで一見現実離れしてみえるおばあさんという設定のキャリイ・ルイズは、本で読んだ時はいまいちイメージがつかめなかったけれど、ジーン・シモンズははまり役でした。犯人やミス・マープルよりも今回はキャリイ・ルイズがいい味出していたような。


ジーナが出てきた時、最初、え、思った程美人じゃない、ちょっとイメージと違う…とがっかりしましたが、プレゼントをもらったときの嬉しそうな笑顔の場面はとてもかわいかった。精神科医や施設関係者は、原作通り胡散臭くて無能な感じが良く出ていた。そこは原作通りでなくてもいいのに。そしてミルドレッドは結構はしょられていた。お気に入りのシーンも省略されており…。今作では、沢山いる登場人物のうち、ジーナ夫妻と、エドガー描写に絞った感じです。

  ⇒あらずじ、原作『魔術の殺人』読書感想はこちら参照
  ⇒マッケンジー版『魔術の殺人』視聴感はこちら参照
  ⇒アガサ・クリスティ 作品・感想一覧


以下若干ネタばれあり



犯行時は、原作と違いルースの持ってきたフィルムの上映中になっていました。でもそのせいか、多分現実的に考えると犯行時はこうであったろうという現実に沿った映し方にしたんだろうけど、あれだけ長々と静かに進行させてしまうと犯行トリックがもろバレ。もうちょっと上手い編集の仕方はなかったものか。種の見え見えな手品は頂けないですよ…。最後のフィルムの上映シーンの余韻は良かったのですが、それをやりたいがために上映会中の犯行に改編したのかなぁ。そのせいでバレバレになったら本末転倒だろうに。

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最後、犯人をバラすシーンでは、エドガーが普通に部屋から飛び出してましたけど、こういうシーンって警察が部屋を取り囲んでいるもんではないの?ポアロ物だと、関係者を部屋に集めて暴露⇒逃げようとしていたら隠れてた警官達が現れて犯人確保、がお約束ですけど、これは逆。警官いっぱいいるのに普通に逃げられてて、おいおい、それは無いだろう、と。追いかけている警官すっ転んでましたからね。最後の「エドガ~」ブクブク…のシーンありきで作っているのでこうなるんだろうな。だったらわざわざ警官のいるシーンでの暴露になんか変更しなきゃよかったのに。

「エドガ~!」のシーンは、またまた迫力のないBGMw 『ポケットにライ麦を』といい、なんだろう、ヒクソン版の追いかけっこシーンでは、能天気な音楽を流すというこだわりでもあるんだろうか。

原作もつまらないのでしょうがないですけど、いいところもありながらも全体的に演出が失敗していて正直見ていてたいして印象に残らない作品。一番の見どころはスラック警部かな。大真面目な顔で何をやりだすのかと思ったら、手品。「練習だよ。3週間後に地区大会があるんだ」w 捜査中に「ぅおーい」バシッと平手打ちで止めた車から取り出したトランクの中身は手品の道具。捜査中にも練習ですか。どんどん変な方向へいってますなw 人に見られてあわてて道具を隠すのも可笑しい。いちいち真顔だし。マープルさんにも見つかってました。スラック警部は原作では普通にウザい人で終わりましたが、ヒクソン版のドラマではだんだんと憎めない人に。最後のお礼のシーンは、マープルさんとのコンビもここまできたか、という感じでした。


 
 
       
 
         
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