【宿泊記】リニューアルで何が変わった? 富士屋ホテル改装前と後に泊まった比較と感想

富士屋ホテル宿泊記の続きです。チェックイン後本館の客室を十分に満喫したので、ホテルの中を探索しにまいります。
箱根の象徴とも言える『富士屋ホテル』。各国の皇室や歴史的な偉人の逗留した、日本を代表するこのクラシックホテルは、2年以上の歳月をかけて大改装し、2020年にリニューアルオープンしました。
これだけ歴史的に重要な、そして歴史に裏打ちされたものだけが醸し出すことのできる本物の上質さをもったホテルとなると、リニューアルでどう変わったのか、ずっかり変わってしまったのか、気になるところですね。
私はリニューアル直前にも宿泊していたので、どこが変わったのか改装前後の比較をしながら、麗しの富士屋ホテル館内や新設されたレストランをご紹介します!
リニューアルで変わった?変わらない?富士屋ホテルの館内比較

できうる限り古き良き時代のものを残し、柱の傷さえもそのままにし、ホテルで紡がれた100年を超える物語を受け継ぎ行われた、富士屋ホテルのリニューアル。
「新しく建てる方が楽」と言われるほどの手間がかけられたのだそう。
時代を超えたものだけが醸し出すことのできる重厚な非日常空間は、リニューアルを経ても変わらず大切にされていました。
まずは本館の客室を出てすぐの、リニューアル前から私が大好きだった場所へ向かいましょう。
そのまま残る本館の特等席

ここはロビーから赤絨毯の大階段を上った、その奥の窓辺にひっそりとある特等席です。。
茶色の調度品に赤い絨毯。この重厚な時代感が本館の特徴。

レースのカーテンのかかった壁一面の大きな窓の向こうには、箱根の山の斜面に沿った、野趣あふれる日本庭園が広がっています。

ここに座ってじっと外を眺めていると、なんだか現実が遠のき、自分が今どの時代にいるのかわからなくなってくるような…。大正ロマンな雰囲気にどっぷりと浸れる、特等席。
この場所がそのまま残っていて、よかった。
リニューアルでかなり印象の変わったフロント周辺
さて、それでは大階段を下りて1階へ。

フロント周りは結構印象が変わりました。置いてあるものは、尾長鳥の彫刻など見覚えのあるものばかりなのですが、まずはフロントの位置が回転扉の横から、大階段の横に変更。
そしてその裏にあったショップなども移動になっていて、全体的にフロント周りはかなり広々とした印象に。

「マジックルーム」は以前と変わらない場所に健在。マジックルームというのは、富士屋ホテルのロビーのところにあるお部屋のこと。

その昔、中国からマジシャンを呼んでカードマジックなどが行われていたことから名づけられたそう。当時のマジックは、すごく華やかだったんだろうな。
こういうちょっとしたところにも、海外の要人御用達の高級リゾートホテル、という歴史が垣間見れて心が躍ります。
ちなみに、これが2017年のリニューアル直前に泊まった時のマジックルーム

クラシックホテルといったらこれ!」なライティングデスクもあい変わらず健在です。

私の勝手な持論ですが、素敵なライティングデスクとレターセットのあるホテルはいいホテルである。
しかしソファーが減ったのか、どこかやっぱりちょっと広々とした印象はあります。


リニューアルで新しくできた富士屋ホテル宿泊者専用ラウンジ「ギャラリー・コージー」
以前は本館、西洋館、花御殿が繋がっていて、フォレスト館が離れていたような気がしましたが、リニューアルですべて繋がって、ちょうどその辺りに宿泊者専用のスペースができてしました!

ここは「ギャラリー・コージー」。
富士屋ホテルを描いた画家の作品を展示したギャラリーに、宿泊者専用のドリンクコーナーが併設されているんです。

営業時間は5:00~24:00。遅くまでやっているのがうれしい。もちろんお部屋にも紅茶やネスプレッソはあるのですが、こちらの方が種類が多いし、持ち歩き用のカップに入れられる。
なので、ホテルの裏にある山登りのようなお庭の散策や、寝る前にちょっとお茶飲んで一息つきたいときになんかに、本館からはちょっと歩くけれど何度も通って利用しました。
客室の詳細はこちらの記事へどうぞ↓
【宿泊記】リニューアル後の「富士屋ホテル」本館ヒストリックハリウッドツインに泊まってきました【クラシックホテル滞在ブログ】 - 関東・甲信越
クラシックホテルが大好きで、その中でも憧れていてずっと泊まってみたいと思っていた富士屋ホテル。4年前に念願かなって花御殿のジュニアスイートに泊まり、夢見心地の時間を過ごしてきました。その時に直後からリニューアルに入り、数年閉館することを知り。リニューアル後、必ずまた泊まりにこよう、そう心に決めた誓いをこのほど果たしてきました!(といってももう結構前のことなのですがw いまさらながらにブログでレポ)。...
富士屋ホテルの変わらないプール、変わったジム

花御殿の地下には、相変わらずテルマエ・ロマエ感ある迫力の室内プールが健在です。中のお湯も、変わらず温泉です。
そうなんです、富士屋ホテルのプールは、箱根・宮ノ下の天然温泉を源泉かけ流しで贅沢に使用した温泉プールなんです。


パッと見はリニューアル前とほとんど変わりません。でも以前はタイルの目地とか結構年季が入っていましたが、リニューアルでピッカピカに生まれ変わりました。やっぱり水回りはきれいな方が良い。
そしてプールの奥には―

ジムが新設されていました!覚えていないのですが、前はジャグジーがあったようです。

そこまでは大きくはないものの、イタリア製トップブランド「テクノジム社」のフィットネスマシンが4台あります。
眺望風呂登場!リニューアルで大きく変わった大浴場
そしてリニューアルで大きく変わった点が、フォレスト・ウィング6階に眺望大浴場ができたこと!
前もたしか大浴場があったと思いますが、割と年期入っていてそんなに心躍る感じではなかったので、私は利用したことはありませんでした。
でもリニューアル後のお風呂は、真新しくて眺望もよくて、ワクワクして入りたくなるものに!
お風呂に関しては、クラシックホテル感は少なめ。和モダンな感じ。さすがにお風呂の写真は撮れないのでありませんけど。客室のところでも書きましたが、私は水回りに関しては古さやクラシック感より、清潔さ新しさを取りたいので、この改装はとても嬉しい。
ちなみにドライヤーは、イオニティの最上位機種でした。もう髪の毛さらっさら。
富士屋ホテルのレストラン
富士屋ホテルに泊まったからには、チェックイン後は1歩も出ずに、こころゆくまでホテルを堪能したいもの。
ということで夕食も朝食もホテル内で頂きました。
夕食は新設された「レストラン・カスケード」で往年の洋食を
ディナーは、リニューアルで新しくできた「レストラン・カスケード」に。

新しくできたといっても、大正9年建築の旧宴会場「カスケードルーム」を復原しているんです。壁には竣工当時のままの華麗なステンドグラスが。
私たちはクラシックディナーのコースをオーダーしました。

ここで頂けるのは、歴代料理長により生み出された往年の洋食!
フレンチを頂くメインダイニングの「ザ・フジヤ」ほどかしこまらず、リラックスしながら夕食を楽しむことができます。

サックリと小気味の良い音を立てる蟹クリームコロッケに、グレイビーソースのたっぷりかかったローストビーフ。
美しい食器に上品に盛られたお料理は、どこか懐かしく、そしてどこか温かい気持ちに。


大切な人とリラックスしながら語らい、温かい気持ちでディナーを過ごしたい人におすすめのレストランです。

圧巻のメインダイニングの「ザ・フジヤ」での理想の朝食
朝食は、メインダイニングの「ザ・フジヤ」へ。

ここはリニューアル前にランチやディナーで何度か利用していますが、言われなければリニューアルしたとわからない程、そのままの印象。
日光東照宮をモデルに造られたこのレストランは、大きな窓には簾がかかり、6メートルもある高い天井には絵画の描かれた格天井、柱には彫刻が彫られていて大迫力です!

テーブルに並ぶのは、『富士屋ホテル』の紋の入った格式高いお皿に、鏡のように磨かれた銀の食器。

そこに運ばれてくるフレッシュなジュースに山盛りのサラダ、甘い香りを漂わせたフレンチトーストに、湯気のたったスープやソーセージ…。見るからに上質なお料理の数々です。

パリッと端正な制服を着た給仕の方に丁寧にサーブされながら、夢見心地で頂きます。


一口食べては顔を見合わせ思わずにんまり。なんとも幸せな朝食。
最高の旅の1日の始まりです!
おすすめのレストランの組み合わせは…
ちなみに、私は富士屋ホテル内のレストランの組み合わせとしては、夕食にこのメインダイニングの「ザ・フジヤ」でフレンチのフルコース、朝食には旧御用邸「菊華荘」で和食、というのが好きです。

写真はリニューアル前の「菊華荘」。ただリニューアル中も「菊華荘」だけは営業していたような気がするので、もしかしたらここは改装されていないのかな?今回は利用しなかったのでわかりませんが。
「ザ・フジヤ」の朝食と料金は一緒だったけれども、人数制限があって早めに予約が必要。御用邸として造営された純日本建築を、限られた人数で贅沢に使っていただく和朝食。ここは本当に時の流れが違います。
滞在中もし1回しか朝食がないなら、私は「菊華荘」をおすすめ!そして夕食は一転、華やかにメインダイニングの「ザ・フジヤ」がいいな。
「レストラン・カスケード」もよかったのですが、すこしカジュアル寄り。私は富士屋ホテルには、リラックスはそこそこで、それよりは非日常感あふれるラグジュアリーなアンティーク空間を求めているので、この組み合わせが好きです。
「レストラン・カスケード」はお子さん連れなど気張らずに利用したいときや、連泊の際にそんな毎日フレンチフルコースなんて胃が持たれるよ…という時にいいかも。
旧御用邸「菊華荘」での朝食は、以前書いた記事を参照まで↓
富士屋ホテルの旧御用邸「菊華荘」での朝食【アンティークで大正浪漫な箱根旅行記】 - 関東・甲信越
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リニューアルで気になったところ
こんな感じでホテルの中を歩き回り、えっ?本当にリニューアルしたの?と何度も思ったほど、リニューアル後もそのままの姿を残してくれていました。
でもちょっとだけ残念だったのが、フロント前のロビー空間。

上にも書いたように、全体的にかなりゆったりと空間を使い、広々としたスペースに代わっていました。
確かに前は天井も昔の建物らしく低いし、初めて来たときは”これがラグジュアリーホテルのロビー…か?”というぐらい狭かったし、ちょっとごちゃごちゃ感もあった。
でも時代ががかった重厚な焦げ茶色の調度品に取り囲まれたその空間は、一歩足を踏み入れた瞬間に、めまいがするほどの圧倒的な美しさの迫力に包み込まれたんです。
いったいここはどこなんだ、どの時代に私はまぎれこんでしまったのだ…!と、現実が遠のくほどの迫力。なんだか、かの時代の要人たちが、周りを歩いているのが見えてきそうになるほど。
リニューアルしてゆったりとゆとりある空間になり、その取り囲まれ圧倒される感じが減ってしまいました。こんなご時世でゲストが少なめだったせいかもしれませんが。そこがちょっと残念です。前の記憶が薄れたら、その違和感も感じなくなるぐらいのものかもしれません。
その他の部分は、相変わらずうっとりと古き良き時代にタイムトリップさせてくれる、麗しの空間でした。
ロビーもきっとまた、時の流れを刻みながら時代の重みをまとっていくのでしょう。

水回りもきれいになったし、ドリンクスペースもできたし、リニューアルでよかった点は多々あり。相変わらず大好きなホテルです。
基本的に私はいろいろなホテルに泊まりたいため、同じホテルに泊まることはほぼないのですが、富士屋ホテルとBirth the suiteだけは何度もリピートしており。

まるで古き良き時代のロマン溢れる物語の中に入り込んでしまったかのような、心ときめく2日間。
歴史に裏打ちされたクラシックホテルでしか味わえないロマンティックな時間を過ごしに、また必ず戻って来よう。そう誓ってチェックアウトしました。
【富士屋ホテル】
神奈川県 足柄下郡箱根町宮ノ下359


【本館の客室についてはこちらの記事へどうぞ↓】
【宿泊記】リニューアル後の「富士屋ホテル」本館ヒストリックハリウッドツインに泊まってきました【クラシックホテル滞在ブログ】 - 関東・甲信越
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