旅行鞄にクリスティ

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【ドラマ】名探偵ポワロ『24羽の黒つぐみ』 ―お色気回


『24羽の黒つぐみ』

今更ながら『24羽の黒つぐみ』の感想、これで旅行で抜けていた放送分は埋まったはず。

原作は私が唯一呼んでいないポワロ物の『クリスマス・プディングの冒険』に収録の短編。ですがこの短編『24羽の黒つぐみ』に限っては集英社文庫から出ていた世界の名探偵コレクション10『エルキュール・ポワロ』に収録されていて、そちらで読んでいるので既読です。

原作ではウェイトレスのモリ―が、「女性は変化を好むが男性はいつも同じものを食べたがる」と言っていたのがやたら印象に残っていて、全然関係ない日常生活でもなぜかふとその言葉思い出したりしていたのですがw、ドラマではそこはカットされてましたね。私は旅行の時は違うもの食べたりしますが、日常ではわりと同じ物を食べ同じメニューを頼む傾向があるので、モリ―説にはあんま共感できないわ。


しかし何度も読んでも犯行方法や犯人を忘れる話もあるのに、こんな話の筋に関係ないどうでもいい部分の、どこにそんなに心をつかまれたのでしょうか…?そんなことはさておき、あらすじ。

ポワロは友人と夕食をとりにレストランへ出かけた。そこの常連客の好みを把握しているウェイトレスのモリ―曰く、客は毎回同じようなメニューを頼んでいく、ただおかしなことがあり、先日常連客の一人ガスコイン氏がいつもは来ない曜日に来て、いつもは絶対頼まない料理を頼んだ、と。しかしその次に来た時はまたいつも通りの注文。

習慣からの逸脱、その理由は?と考え込むポワロを、なんでもミステリーにとらえるとからかう友人。そこにモリ―が、またガスコイン氏がいつもは頼まない黒イチゴを頼んだと知らせに来る。そして翌朝、ガスコインの死体が発見された。


2話前に「エルキュール・ポワロは歯医者に行く必要はありません。私の歯は完全だ。それをいじるのは冒涜です。」と駄々をこねていたポワロが、「イギリス風の手をかけた美味いもの」とかいう幻想の料理を頼むけったいな歯医者と夕食に行くシーンから始まります。いったいどんな料理がでてくるんだ…?絶対ポワロさんの作った料理の方が美味しそうだし。ちなみに原作では夕食相手は特に歯医者とは書いていません。なのでその後の治療シーンもドラマオリジナル。

そしてこの歯医者が地味に酷い。ポワロの口に器具を突っ込みながら、

 歯医者 「レストランで見た老人を覚えているかね」
 ポワロ 「んあ…」
 歯医者 「しゃべっちゃいかんよ」

なら聞くなw

ポワロが歯医者の診察台の上で子羊のようにプルプルしている話と言えば『愛国殺人』ですが、このシーンは愛国殺人からもってきたんですかね。ここでこのエピソードをつかってしまったからには、ドラマの『愛国殺人』の冒頭はどうやってはじまるんだろう?ポワロが診察台の上で、ぎゅっと手を握っていたのが可愛いです。しかし甥の家で砂糖を3つも入れていたので、またすぐに歯医者に行く羽目になるでしょう。



モデルの人の声が可愛くて色っぽくて良い声で、でも何かを思い出す声だなと思っていたら不二子ちゃんでした。なるほど。よく考えたら今回は不二子ちゃんにヌードモデルに水着の踊り子とお色気回ですな。

 ⇒アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら

以下、ネタバレあり

アムステルダム国立美術館



習慣からの逸脱のように見えたのは、習慣を逸脱したのではなくそもそも別人で、犯人が被害者に変装してアリバイ作りをしていた、という話。何てことのない日常における人間の行動の些細な引っかかりから犯罪の発見へとつながった、というポワロらしい事件。なぜ犯人が2回も変装してレストランを訪れたのかと言えば、周りが上手く騙されるか予行演習して試した、ということでした。

クリスティの他の作品で犯行の予行演習をする話がありますが、こちらはアリバイの予行演習。

しかしずいぶん早い段階で、レストランに現れた男がヘンリーではなかったのがバレるので驚きました。原作ではヘンリーはただの貧乏画家なので、容疑者がほんと甥しかないような状態なので、犯人が誰かというより、どうやって殺したのか、ついでになぜ違うメニューを食べたのかのみに謎解きを絞っている感じだったんです。



さすがにこれで1時間は持たないので、ヘンリーの絵を高額にして、兄弟間の色恋のいざこざやらで容疑者を増やしたんでしょう。短編を1時間ドラマに引き伸ばすとなると、毎回毎回レギュラー陣のやり取りで尺を嵩増ししするにも限度があるし。

最後におまけで、題名の元になった6ペンスの歌について。クリスティ作品でマザーグースの6ペンスの歌をモチーフにした作品は他に、ミス・マープルの『ポケットにライ麦を』があります。あちらの方が歌に見立てた殺人になっていてマザーグースの歌詞を活かしているので好きですね。

『24羽の黒つぐみ』の方は、パイに入った24羽の黒つぐみ、じゃなくて黒いちごのケーキを食べたってだけよね…?6ペンスの歌、関係なくない…?



「6ペンスの唄」 引用元:wikipedia 項目:6ペンスの唄

6ペンスの唄を歌おう
ポケットにはライ麦がいっぱい
24羽の黒ツグミ[3]
パイの中で焼き込められた

パイを開けたらそのときに
歌い始めた小鳥たち
なんて見事なこの料理
王様いかがなものでしょう?

王様お倉で
金勘定
女王は広間で
パンにはちみつ

メイドは庭で
洗濯もの干し
黒ツグミが飛んできて
メイドの鼻をついばんだ


アガサ・クリスティ作品(名探偵ポワロ、ミス・マープル含む)感想一覧はこちら
『名探偵ポワロ』シーズン1

 
       
 
         
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