旅行鞄にクリスティ

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【ドラマ】名探偵ポワロ『 猟人荘の怪事件』 ― 犬>ヘイスティングス


『猟人荘の怪事件』

原作は短編集『ポアロ登場』に収録。『マースドン荘の惨劇』の感想の時に、荒野にある別荘の話じゃなかったっけと勘違いしていたのがこの作品。そうそう、こんな感じの、緑のない荒野の田舎のお屋敷、イメージぴったりです。

今日本はまだ5月だというのに連日夏日でげんなりですが、ドラマの中ではジビエシーズン到来。山には雪も見られ、非常に寒そう。寒がりのポワロはいつもなら避ける環境ですが、それよりも美食の情熱が勝ったようです。そしてそれにも打ち勝つ風邪のウイルス。

 ⇒関連エントリー:【ドラマ】名探偵ポワロ『マースドン荘の惨劇』 ―オカルト風味盛り盛り、かわいいおっさんも盛り盛り


猟の様子を見たのは初めてです。なんとなく勝手に猟には個人で行くものだと思っていたので、あんなに大勢で行くのにびっくりしました。そして各自好きに狩るのかと思ったら、場所が決まっているのね。そうね、そうしないと危ないものね。

でも皆あんな近くで撃つのは怖いな、いやでも皆見える範囲にいたほうが安全なのかな。見えていた方が間違って撃ってしまったりしないし…と思った次の瞬間にはおじさん撃っていたw 下手な人と一緒になると、狩る方も命がけですね…。

ドラマの中ではポワロは暖炉を「イギリスの好ましい伝統の一つです」と言っていましたが、原作シリーズでは暖炉は石炭の形が不揃いだし背中は暖かくないしであまり好きではなく、左右対称で形の整ったセントラルヒーティング派だったはず。



そして原作のヘイスティングズはポアロの方から事件の捜査をするよう(と言っても事実を調べて伝えることであって推理ではありませんが)持ちかけられているのに、ドラマではこっ恥ずかしいお叱りの言葉を頂いちゃう。

ポワロ「もったいぶって鼻をたたいたりすることはやめて、知っていることを全部話してください!」 

今週の名言きました。全く信用されていないヘイスティングズ。

⇒原作収録の『ポアロ登場』の感想はこちら:【本】『ポアロ登場』― 割とすっとんきょうなポアロです ※ただしこの作品については言及無し
アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら

以下ネタバレあり。『24羽の黒つぐみ』『100万ドル債券盗難事件』のネタバレもあります。

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今回の犯行は、結構わかりやすかったのではないでしょうか。同じように犯人が一人二役を演じた『100万ドル債券盗難事件』は女優さんの化け方が素晴らしく全く気が付かなかったけれど、今回は結構不自然でしたね~。

『100万ドル債券盗難事件』のような地味⇔派手間のチェンジなら粗が目立たないけど、若い人が年寄り役やるのは偽物感が目立ってしまって難しいんでしょうかね。そういえば同じように若い人が年取った叔父を演じた『24羽の黒つぐみ』も、不自然な感じが目につきました。

プロの女優・俳優がやってもこれなんだから、素人がアリバイ作りでこれをするのはやっぱり無理があるよね。

⇒関連エントリー:
【ドラマ】名探偵ポワロ『100万ドル債券盗難事件』 ―ポワロの船酔い設定はどうなっているんだ…
【ドラマ】名探偵ポワロ『24羽の黒つぐみ』 ―お色気回


ただ一応原作では、ミドルトン夫人が顔を見られるのは事件後に警官とジャップ警察とヘイスティングズにそれぞれほんの短い間証言する時だけ、しかも薄暗いホールで、です。顔を覚えるほどの時間ではない。そしてポアロ達は事件発生後に初めて関わりヘイスティングズはロジャー・ヘイバリングの友人でもなんでもないので、奥さんの顔も知らない。原作設定ならそこまで無理はなかったかな。

さらに原作ではヘイバリング夫人は元女優です。出た、クリスティの女優・俳優万能説。クリスティではなにかと言えば俳優が別人になりすましてアリバイを作りますが、俳優ってだけではそこまでできはしないだろうということも多々あり。読んでいてちょっとしらける設定なので、ドラマでは元女優設定は無しにしたんでしょう。しかしせっかく無しにしたのに、猟で大勢の人に顔を見られてまとまった時間一緒に過ごしたりと、演じるハードルは上げてしまい。これは一般人にはとても無理ですよ…。

原作だと事件発生後に風邪で寝込んだポアロに依頼が来る所から始まるため、そもそも事件に関わる登場人物がヘイバリング夫妻とミドルトン夫人しか出てこなく尺が足りないので、ドラマにするにはいろいろ付け足さないと無理なのでしょう。でも見ていて不自然さが目立ってしまって、騙される爽快感がなく残念でした…いや、そもそも話は知っているので騙されるもなにも無いといえば無いのですが。でもロジャー・ヘイバリングをヘイスティングズの知り合いにしたので、友人なら犯人ではないのでは、という油断を誘えたのかな?一応、共犯はロジャーなの?アーチーなの?という二択で惑わせるストーリーなのだろうけど、やっぱり一番のキモは夫人と家政婦の一人二役の部分。『100万ドル債券盗難事件』の女優さんみたいな見事な化け方を見たかったわ。


推理部分は改変された部分にかなりガッカリ感の残る話でしたが、でもそれ以外のドラマオリジナル部分は楽しめました。冒頭の狩のシーンしかり、自転車盗まれた駅員しかり(自転車関連のエピソードはまるっとオリジナル)、そして可愛いお利口なワンコ。

家庭犬でも匂いの追跡ってできるんでしょうか?うちの犬は犬種としては同じく猟犬のはずですが、絶対できません。鼻は餌を探すためだけにある。猟犬の訓練をしていれば、あんな風にここほれわんわんしてくれるんでしょうかね。自転車のシーンで寒かったのかプルプル震えていたのが可哀想だったけれども、顔つきもひたむきで忠犬っぽく頭の良さそうな犬だった。ポワロさんからも実に賢い犬とお褒めの言葉を頂き。鼻たたいて怒られてるヘイスティングズとは大違い。

そして地平線の向こうから、逆光の中チャリを引いてのっしのっしと歩いてくる4人の中年男と犬がやたら恰好良かったw なんだあのシーンはw

殺人は置いておいて(置いておいちゃだめだけど)、ギャンブル狂いで借金まみれの夫、遺産をちらつかせてこき使う夫側の親戚、一人二役の危ない綱渡りに殺害の実行役、と完全に奥さんは貧乏くじ引いてる。度胸も据わっているようだったし、犯罪に走らず離婚していれば良かったのに…でもそれだけ大金の遺産というのは人を惑わすんだろうな。

「感謝を期待してる。お笑いですね。プロはそんな泣き言はいいませんよ」ジャップ警部の悟りをひらいた言葉が恰好良い。警察とかそういう職業は、しっかり働いても市民からいろいろ言われるんだろうな。がんばれ、ジャップ警部!そう言えば先週、私も警察が間抜けだとかいう感想書いたような気もするけれども!

来週はまた楽しみな長編、しかも『ABC殺人事件』です。長編なので3時からスタート。


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