バセドウ病、または持病のある人の海外旅行覚書

バセドウ病は治療さえしていれば普通に生活できるので、とりたててこんなエントリーを書く必要もないとは思いますが、病気になったばかりの人で旅行が不安な人もいるかもしれないので、念のため病気になってから海外旅行時に気を付けていることを書いておきます。
ちゃんと治療している人は何も不安に思う必要はないです。他の病気の方にも参考になれば幸い。
バセドウ病でも海外に行ける?
バセドウ病と診断されてからこの4年間で海外には7回程、国内にもちょこちょこと旅行に行っているわけですが、旅行中において特にバセドウ病だからといって制限されることはないです。バセドウ病だから海外旅行行けないということも無いです。
まずは主治医に聞いてください。普通にOK出ると思います。ただしちゃんと病院に行っていない人のことは一切知りません。
アイソトープ治療を受けた人はちょっとわずらわしいことがあるかもしれません。理由は後述します。
投薬治療中の人
まずはバセドウ病だけでなく持病のある人すべてに関係する、投薬中の人の海外旅行のコツから。
薬は日数分+αを2セット、手荷物とスーツケースにわけて入れる
海外旅行において、スーツケースが空港で無くなるというのは珍しいことではありません。また、手荷物をひったくられたり、飛行機遅延で予定日に帰れないことも普通にある。
なので海外旅行持ち物リストにも最重要の超 必須持ち物で書きましたが、薬は必ず2つの鞄に分けて、どちらかが丸々無くなっても平気なように両方の鞄に予定日数+1日程度分入れて持って行く。

持病もカバーできる海外旅行保険に入る
普通の海外旅行保険は、日本にいるときから症状の出ていた病気に関しては一切保険金を払わない契約になっています。持病のある人は、AIU保険等の持病もある程度カバーしてくれる海外旅行保険に入る必要があります。
そもそも海外旅行保険が必要かどうかについては、持論は海外旅行保険は入るべきか?に書いています。
時差に気をつける
時差の多い国に行くと、初日の食事が不規則にめちゃめちゃになる。数日間の旅行なら日本時間で考えて薬を飲むのもいいですが、日数の多い旅行に行く場合は、現地時間に合わせてしまったほうが楽で、飲み忘れ・飲みすぎのミスもないです。
時間がずれて難しいですが、24時間で飲むべき量は飲めるように配分を適宜調節する。
なお、旅行中は普段と違う行動や時差で、薬をどこまでのんだが解らなくなるので、薬の多い人は飲む時間をメモした紙をつけて小分けにしておくか、薬整理箱がおすすめ。
私は薬が多くないので、ロフトネットストア
薬と病気を英語で説明できるように
英語で自分の病気と持っている薬を説明できるようあらかじめ調べておくか、英文の説明書きを用意しておきます。
私は体験がありませんが、運悪く空港の手荷物検査や税関で止められ、手荷物やスーツケースの荷物を開けられたときに、薬があると説明を求められるとか。あとは何かあって病院に運ばれた時には、自分の持病と飲んでいる薬を説明する必要があります。
一番いいのは、日本で医師に英文診断書と服薬している薬の説明と量を書いてもらっておくことです。有料です。そしてコピーを同行者にも渡しておくと尚良し。自分に何かあったときは、同行者に説明してもらえるので。
薬はその時によって飲む種類や量が違ったりするので、何度も海外に行くのに毎回書いてもらうのはわずらわしいと思う人は、がんばって自分で英語で説明しよう。
バセドウ病:Graves' disease
メルカゾール:thiamazole(メルカゾールは日本名なので、海外では通じません)
インデラル:propranolol
ウルソ:Ursodeoxycholic acid
飛行機への液体医薬品の持ち込み
液体のヨウ化カリウムを飲んでいる方に当てはまりますね(コンタクトの保存液なんかも)。水や化粧品など、医薬品でない通常の液体類を機内に持ち込む場合は、以下の3条件を満たす必要があります。
- 液体を100ミリリットル以下の容器に入れる(中身ではなく、容器自体の大きさが100ミリリットル以下)
- さらに縦横の合計が40cm以下のジップロックに入れる
- 保安検査を受ける
しかし医薬品は、飛行機内にいる時に服用する分なら100ミリリットルを超えてもOK、かつジップロックに入れなくてもOK。ただし、保安検査は受ける必要があります。たまに液体でも医薬品は検査免除されるから検査場で出さなくてOKと言っている人がいますが、間違いです。これまで何も言われずに素通りできたのは運がよかっただけです。
つまり、機内で飲む分量だけ、手荷物検査の時にジップロックに入れずそのまま提示して持ち込む。飛行機内ではなく旅先で飲む分は、手荷物ではなくスーツケースに入れて持っていく。これが正しい100ミリリットルを超える液体の医薬品の機内への持ち込み方。こうすれば持ち込めますが、あくまで機内で飲み切る・使い切る場合のみです。

といっても大抵の場合液体ヨウ化カリウムはそもそも容器も100ミリリットル以下なので、ここまでは不要。普通の液体と同じよう上記3条件を守ってジップロックに入れて保安検査に出せばOK。実際問題1日分のヨウ化カリウムを数滴だけ分けて持っていくのは現実的ではないしね。
検査も、国によりますが結構アバウトで、使い捨てコンタクト数日分持ち込んで何も言われなかった~とかいうこともあるようです。まあ、何か聞かれた際に英語で説明できさえすればそれもいいのかも。
尚、ヨウ化カリウム等、処方箋の必要な薬を持ち込む際は、処方箋の写しか診断書類(英文)が求められる場合があるらしい。義務ではないようで、私は経験したことないですが。これも「上記の薬と病気を英語で説明できるように」を参考に対応。
アイソトープ治療を受けた人
アイソトープ治療、放射性ヨウ素を服用する治療です。放射性ヨウ素…そうです、空港のテロ対策、放射線感知器にひっかかるのです。必ずアイソトープ治療を受けた病院で、あらかじめアイソトープ治療証明書(英文)を発行してもらっておいてください。テロ対策なので、鳴ると取調べを受けます。証明書を持たずに鳴ってしまうと厄介です。
伊藤病院では、問診の際に海外旅行へ行くと伝えると、さらさらと病院の既存のフォーマットに書いてくれました。患者名と、放射性ヨウ素の量と治療の日と、空港等高度な警備の放射線アラームや炎センサーで感知される可能性がある、という内容。数千円だったかな。感知器が鳴ったら入国検査官にそれを見せる、と。なので手荷物に入れるんですよ!スーツケースに入れちゃ駄目。
私は、アイソトープ治療後1ヶ月で海外旅行に行きました。行き先は羽田発香港経由のマレーシアのコタキナバルへ。無事鳴らずにすみました。治療後3ヶ月間ぐらいは証明書を発行してもらった方がいいという話もありますが、飲む放射性ヨウ素の量や空港の警備の強さによっても違いそうです。
空港だけでなく、デパートの炎センサーにも引っかかることがあるらしいので、念のため旅行中は常に証明書を携帯し、鳴った場合に調べられて貴重な観光の時間が減るのは絶対に嫌だったので、最低限の説明は英語でできるようにはしておきました。
その他
バセドウ病の人は、海藻を使うホテルのスパ・タラソテラピーは受けられるものと受けられないものがあるので、要確認。
このぐらいかな。主治医に知らせて、後は気負わず海外旅行を楽しんできてください。



