【ドラマ】名探偵ポワロ『チョコレートの箱』―ポワロは失敗なんかしないのだよ
いや~ん去年旅行で行ったブリュッセルの街がいろいと映ってるぅ~と話の筋とは別のところテンション上がりまくりの今作は、『ポアロ登場
例えばポワロが2度目にビルジニーと話した外のカフェはヨーロッパ最古のアーケード:ギャルリー サンチュベールにある―



多分このカフェ兼ブラスリー ”モカフェ”。
デルラール家の執事とチェスをしていたのは、グラン・プラスの市庁舎のあたり。

ポワロの奥に写っていたのはこの建物↓ 王の家(ブリュッセル市立博物館)。

この辺には馬車もいた。白馬バージョンも有り。

ブリュッセルの建物には繊細な装飾が施されていて、そこら辺を見ているだけでも壮観です。グラン・プラスが世界で最も美しい広場と言われるもの納得の、圧巻の景色。芸術作品のような街。名探偵ポワロ好きの人はあの街並みを見るだけでもテンションが上がると思う。
今はテロでなかなか行きづらいかもしれませんが(というか私もパリでテロに遭遇したわけですが)、状況が落ち着いたら行っていない人は是非。良かったら旅行記↓も見てみてください。ちなみに去年の旅行なのに、旅行記まだ書き終っていません。現時点での最新エントリーは『オランダで泊まったホテル(これもアンティークで素敵)とマリファナの香りのするアムステルダムの街について』です。
【フランス・ベルギー・オランダ旅行記】関連エントリー
:ギャルリー・サンチュベールと、美食の国ベルギーでB級グルメ食べ歩き
:世界遺産グラン・プラスを散歩し、さよならベルギー再びオランダ
で、ベルギーと言えばもう一つ有名なのがチョコレート!もちろん買いました、箱入りで。もちろんポアロの『チョコレートの箱』を思い出しながら。ということで、こちらのエントリーでベルギーの老舗チョコレート店 neuhaus のチョコレートの箱「バロタン」について書いているのでよかったらそちらのエントリーもどうぞ。
⇒関連エントリー:再び日本撤退?ノイハウスの『チョコレートの箱』 ―ヨーロッパ旅行お土産その2(ベルギー)
さて、宣伝はさておき、やっと本題『チョコレートの箱』です。暖炉の前でポワロがヘイスティングスに自らの失敗談を語ってきかせるという、高慢ちきなポアロらしからぬストーリーながら最後にちゃんとオチがつくほっこり話…のはずがなんとポワロの淡く切ない恋物語になっているwww
原作は全くの過去の話として、ポワロベルギー警察時代の事件をヘイスティングスに語る形式をとっていましたが、ドラマではジャップ警部の叙勲に付き添いとしてベルギーまで来て、当時の関係者と再会する形になっています。
ドラマシリーズを吹き替えではなく元の音声で聴くと、割とフランス人とはフランス語で話したりと多言語で話されているので、ベルギーが舞台の今回の話もフランス語で話されているのとかと思いきや、今回はずっと英語だった。そうね、舞台ほぼベルギーなので、さすがに全編フランス語になってしまうものね。
今作は 一昔前の事件なので、背景も服装も古めかしくてクラシックでとても良いです。ポワロさんのお腹もまだそこまで出てないし髭ももっと黒々してる。そして今と昔を行き来するたびに、登場人物達の頭髪の厚みがことごとく増減するのに目が釘付け。そうか、こういう話だから、頭頂部の具合に多感なお年頃のヘイスティングズはでてこなかったのね。
⇒関連エントリー:【本】『ABC殺人事件』 ―連続殺人と人間狩りと(アガサ・クリスティ/ポアロ)
あらすじはNHKオンラインより引用
20年ぶりに帰ったブリュッセルの町。ポワロが心に秘めた事件の真相が今、明かされる。
20年ぶりに故郷ベルギーのブリュッセルに帰ったポワロは、かつての事件をジャップ警部に語る…。ポワロが警察官として勤務していたころ、ある大臣が自宅で急死した。死因は心臓マヒと断定されたが、大臣の亡き妻のいとこがポワロに再捜査を依頼。単独で捜査を始めたポワロは、書斎に残された大臣の好物のチョコレートの空き箱に注目する。
⇒アガサ・クリスティ作品感想一覧はこちら
⇒原作の感想はこちら:【本】『ポアロ登場』― 割とすっとんきょうなポアロです
以下ネタバレあり

今明かされるポワロのブローチの秘密!殺人もトリックも、チョコレートの箱という魅惑的な題材もぶっ飛ばして、原作に全く登場しないポワロのほろ苦い恋のお話に全てを持ってかれたわ。しかも「ポワロ唯一の失敗談」という位置づけの話だったのに、失敗する直前に気づいて失敗じゃなくなってるし!
ポワロが第1話から左胸につけ続けたブローチの理由が明らかに。これ、毎話欠かさずついていたんですっけ?私はドラマはとびとびで見ていたので正確なところはちょっと不明ですが、最終話の『カーテン』ではついていたような。1話の時点で既につけているということは、ドラマ化が決まった時からこのドラマオリジナルのポワロの恋バナは考えられていたということでしょうか。それとも後付け設定なのかな?
原作でポワロが女性に惚れた描写があるのはロサコフ伯爵夫人だけで、しかも何話も登場するのに対し、ビルジニーは原作では単なる依頼者、しかも短編の。しかし貰ったものを第1話から最後まで何十年と(ベルギー時代からと考えるとさらに長い)胸につけ続けているとなると、ドラマではこちらが本命か。
私はポワロの「あの女性(ひと)」はロサコフ伯爵夫人と刷り込まれているので、最初は若干の違和感あり。しかしドラマ版のメロドラマなロサコフ伯爵夫人(第一形態)といい今回のビルジニーといい、淑やかで賢く強く、非常にドラマ版ポワロが好みそうな女性ではある。
しかしまぁなんてビルジニー役の女優さんの美しいことといったら!なんか先週に引き続き、ダイアナ妃みたいなすごい美人来た~と思っていたところに、「あの笑顔には抵抗できないだろう?」に思わず全力同意。これはポワロでなくとも惚れますわ。そしてどことなくブラピに似ているイケメンきた~と思ったら最後にビルジニーをかっさらっていき。OH…ポワロ…。
改めて見ると、出会いのシーンでジャン・ルイはビルジニーをガン見で完全に一目ぼれですな。まだお腹が大きくなかった頃で(妊婦さんかw)珍しく機敏に階段を全力で駆けおり犯人を追跡したり、上司に激怒され立場が危うくなってもビルジニーのために捜査を続けたポワロが、二人の出会いを作ってしまったのが泣ける。
原作の高慢ちきポアロだと、ロサコフ伯爵夫人に振り回されて、ミス・レモンに「うんまぁ!あの歳で!」扱いされてもプークスクスとしか思わないのですが、ドラマ版のポワロはなんか純情なので、報われないと切なくなります。
息子が人を殺めたことを知りながら告発せず、ただじっと非難を続ける母親、というのはどことなく他の長編を思い出します。あちらは再び罪を犯した息子を見ても何もできず、ただただこんな世の中から自分が早く死んでしまいたいと嘆くだけの母親でしたが、こちらは自ら天罰を下してしまった。どちらが良いとかはありませんが、そう言えばまたしてもポワロは殺人犯を見逃しているんですね。ポールは殺人者だったし、カトリックを迫害するリベラルすぎる政治家で殺した方が国のため、世の中のためにもなるから自分で手を下す。う~ん。この考え方には同意できないわ。マダム・デルラールを見逃すなら、原作版の『愛国殺人
しかし、ヘイスティングに裏切られてひとり豚箱にぶち込まれた時のマリオコソ泥スタイルがまた見られるとは思わなかったわ。この恰好はポワロさんにとって、コソ泥に入る時のベルギー時代から年期の入った定番スタイルだったのね…あなた警察よね?
コソ泥スタイルに毛髪増量スタイルと珍しいポワロ七変化が堪能できたし、美しい街並みに美女に美味しそうなチョコレートにほろ苦い恋、見どころがいっぱい詰まったお話でとても面白かった。ちなみに、原作のラストはとてもほっこりと可愛らしいので、特にポアロ&ヘイスティングスコンビが好きな人は読んでみてください。
来週は『死人の鏡』です。


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